残雪の稲村ヶ岳―美女に誘われて (Mar.28, 2004)

巻道のお地蔵さん


 きのう高原山から四寸岩山への途中、電話が鳴った。panaちゃんからだ。
 「もしもし郭公さん、あのね、安芸ちゃんと雪ちゃんが明日(日曜)休みが取れてんて。で、山行こうって。郭公さんも来る?」
 「うんうん、いいよ」
 「でね、雪のあるとこ行きたいんやけど。どこがいいかな? 大峰でもいいし、坊村から武奈ヶ岳でもええねんけど」

 夕方連絡を取り合い、稲村ヶ岳へ行くことにした。
 難所は大日のトラバースだけれど、この時期ならたぶん行けると思う。

 八時半洞川温泉集合の予定だったが誰もが少しずつ早く来て、結局八時二十分には歩き始めていた。
 豆腐屋さんで予約。うすあげはなかなか分けてもらえないところを、雪ちゃんが言い、さらに安芸さんが「一枚でええねんけど」。豆腐屋のお兄さん、ついに折れてしまった。「一枚だけね」。コンロも網もあるから山頂であぶって食おうとの算段である。

08:40 登山口
 雪はなく、稲村への登山道は比較的穏やかで歩きやすい。法力峠で一本。
 高橋横手の日当たりのいいところから、弥山が見える。
 谷をいくつか渡ると日陰には雪が残り凍っていた。
 大日のとんがりが見える。

11:20 稲村小屋。

稲村小屋にて (撮影はpanaちゃん) 青空と椈

 先にはまだたっぷりの雪があった。
 狐が一匹。僕には犬に見えた。「しっぽがちがう」と旅人氏。
 「たぬきやろか」
 「たぬきはあんたやろ」
 安芸の野郎、セクハラで訴えてやるぅ。(^O^)
 panaちゃんが写真に撮ろうと追っかける。
 この狐、ひょっとすると餌付けされているのか、逃げはするけれども小屋の周辺を動かない。どうやら撮れたようだ。

 ぐっと登る斜面の雪を見て僕もアイゼンを履いたけれども、日当たりに出ると気温が上がっているせいか柔らかくなっていた。
 ブナ林で撮影会。

 さて、問題の大日のトラバース。

大日のトラバース (撮影は安芸さん) 君たちはほんまに怖いもんしらずや。(^O^)

 思ったより雪は少なかった。ザックを当てないように気をつけながらゆっくりと渡る。

 渡りきると大日のキレットだ。ここまでくればひと安心。
 夏道は稲村ヶ岳山頂の下を巻いて向こう側の稜線に出てほんの少し引き返す。

 雪のある斜面はこれまた緊張するから、冬はこのキレットからすぐ上に、つまり巻かずに稜線に沿って踏跡が付く。こちらの方が安全だ。
 とは言うもののかなりの急登でもあり、木が邪魔するし、やっとのことで剣のモニュメントのところまで来た。展望台はもうすぐだ。

急登。旅人さんVサインしてます。(^O^) 山頂にて

12:40 稲村ヶ岳山頂。
 360度視界ばっちり。雲ひとつない。昨日も好天だったけれど今日の方がまだ視界がくっきりしている。
 難所を通ってきた安堵感も加わりいつになくのんびりとした昼食である。
 セクハラのこと、リストラのことなど、あれやこれやと話題は尽きない。
 旅人さんがうすあげをあぶり、めざしを焼く。
 僕はいつものおいなりさんと巻き寿司のコンビニ弁当。
 あげをいただき、めざしをいただく。「うん、ほんとに美味しい」
 安芸さんがリゾットを。チーズが効いてポタージュ風の味付け。これも美味しかった。
 雪ちゃんがコーヒーを淹れてくれる。「うんうん、うまいぞ」
 陽射しはもう初夏の気配。じりじりと痛いほどだ。
 panaちゃん「あの道また戻るのかと思うといややなぁ・・・」
 この気持ち、よくわかる。雪が解けるまでここにいて、安全な道を下りたい。僕も同じように思ったことが何度かある。

弥山 大普賢

 下りは夏道を歩いた。

See You. 楽しかったぜ。

 大日のトラバースも無事通過。
 小屋で一本。
 水場で一本。
 それからの下りの早いこと、早いこと。

 法力峠に先に着いたpanaちゃん、僕たちを待っていて、旅人さんが一本取ろかって雰囲気だったところを、「ほな行くで」。あらあら、休むんとちがうんかいな。(^O^)

16:00 林道
 豆腐とうすあげをいただいて風呂に入り、夕食は、もちろん鍋だった。

 雪あり、初夏の陽射しあり、キツネさんも特別出演。
 大日のトラバースとキレットから稜線伝いの道はこれまた難儀したけれども、その分山頂での解放感はひとしおだった。

 panaちゃん、安芸さん、雪ちゃん、旅人さん、お疲れさま。
 いずれテント泊で新雪の弥山やね。




panaちゃん:残雪の大峰・稲村ケ岳(1726m)