西八、中八、奥八、南八人山―八人の変わりもん (Apr.24/25, 2004)
前夜泊で行くことになった。持経の宿に泊まる予定である。テン泊の装備でテントだけを持参せずに行くことにする。
4月24日(土)
明日用事のあるせきやんはきょう済ませて持経の宿で僕たち三人を待ち、明日の早朝帰宅予定。
タンタン氏は仕事の都合できょう夕方6時に大阪を出る。
DOPPOさんと僕は2時に出発。
池原側の林道はゲートが閉じているから行仙のトンネルをくぐって十津川側の林道に入るとここもゲートが閉じていた。
「あらら?」
さてどうしたものか。時刻は5時を回ったところ。
はたしてせきやんは持経の宿にいるのかどうか?
山中のことであり携帯もなかなか繋がらない。
大野出合から林道を詰めると中八人への登山口があるからひょっとするとそこから登ったのかもしれない。とすれば、林道で帰りのせきやんと会うかもしれない。
大野方面へ車を走らせながら携帯のアンテナが立ったところでDOPPOさんがタンタン氏に電話をする。
「テント持って来て〜」
せきやんは留守電になっていたようだ。予定の変更を告げる。
大野出合から林道大野線を詰め、大野川と高津川の合流点が中八人山への登山口。
広い駐車スペースがあった。
とうとうせきやんとは会えなかった。
僕たちは焚き火をしながら酒を飲み晩御飯を食べる。タンタン氏は迷わずに来れるかなぁ・・・。
21時半、一台の車。ちがう。どうやら釣りに来られたようだ。
22時、もう一台。来た来た。(^O^)
テント設営後、タンタン氏はおそがけの晩御飯である。
日本酒が好きらしい彼に、D氏から「男山」の差し入れ。なかなかシャレてます。
「道まちがえんと来れた?」
「ええ。でも途中で、映画『激突』みたいなシーンがありましたよ。一台追い越したんですけど、それがずっと付いて来るんですわ」
うーん、追い越しは何かと祟りますね。
4月25日(日)
6時前に起床。
06:45
「ほな行こか」
朽ちかけの橋を渡り薄暗い杉木立の中を抜け、沢沿いの道を歩き、植林小屋そばの沢で一本。
これを渡ると、急な登りであった。林業用のモノレールがここにも走っていた。
奈良の山にはいたるところにこのモノレールが走っている。あたしゃ、奈良県の山林監視員か。(^O^)
07:50 かなりきつい尾根を登って一本。
巻道には随所に鉄の橋がかかっていて、谷側に傾いているところもあり、こわごわと渡る。
道中にはきれいな桃色の花が咲き、気が和む。谷側には山桜が咲いている。
おそらく南八人へと思われる分岐を右に見て、まず西八人へ登ろうと真っ直ぐ歩くと、もう一箇所、これも南八人へと思われる分岐があった。左の西八人側へ取る。
中八、西八の稜線に出るとやっと広々とした感じになった。ふうふう言いながら歩いてすこんと明るいところへ出れば、やっぱり気持ちがいい。
中八人側から人の声が聞こえる。
09:35 西八人山山頂。
ふう、やっと着いたか。
座ってパンをほお張っていると先ほどの声の主らしいお二人が前を通って行かれた。
「向こうへ下りる道があるんでしょうかね」なんて話をしているとさらにお二人が。
「さっきこっちへ二人来ました?」
「ええ、ええ。向こうへ行かれましたよ」
「あ、ここ西八人?」
「そうそう」
「向こうへ下りる道あるんですか?」
「さあ・・・。さっきここ歩いてないんじゃないかな?」
「どっちから来られたんですか?」
どうやら滝川から石仏山を経て登って来られたようで、つまり道を間違っている。
先に行かれた二人に「おーい」と声をかけると、わりと近くから返事があり引き返して来られた。
この四人のお話では大峰山系に入り浸っている長靴を履いたもう一人と山中で会い、彼によれば、「こんな中八人に来るなんてよほどの変わりもん」らしい。
この四人と僕たち三人、それにお会いしなかったけれども、長靴の一人の八人はよほどの変わりもんになる。
そうそう、昨日来たはずのせきやんもそうだ。
10:00 中八人山山頂。
奥八人へは藪を漕ぎながらぐんぐん下る。帰りにこれを登り返すのかと思うとうんざりするほどの下りだった。途中の痩せ尾根の北側にはキレットがあった。
奥八人山山頂部はヒメシャラの群生。陽射しに包まれて穏やかな感じ。 |
10:50 奥八人山山頂
ヒメシャラの群生する広い山頂部だ。南には電波塔のある行仙岳、その右に笠捨山が見える。かつて、2001年のGWにDOPPOさんと歩き、その年の11月、RINちゃん、美波さんと歩いた。
少し早めの昼食。
さて残るは、南八人だけれど、さきほどの道を登り返すのかと思うと気が滅入る。
藪を漕いでいると、「げっ」。ヘビがいた。
「ヘビや〜」
僕はDOPPOさんに助けを求める。どうやらシマヘビである。
DOPPOさんがストックの先で突付こうとすると噛みに来た。
「怖いぃ〜」
細い木に体を巻きつけながら登る。途中でずりっと滑るのが内心おかしかったけれど、
「上から飛びついて来ませんかね?」
「そんなんせんやろ〜」
枝から落とし、どっかへ行ってくれたのを見てそろっと前へ進む。
これからシーズンだから、何度でも見るだろうと思うとそれもまた気鬱なことだ。
稜線に出る途中の見晴らしのいいところでタンタン氏が待っていて、
「ヘビ、見なかった?」
「いや」
一本取って大峰山系に目をやる。釈迦、旭から釈迦への尾根。
「釈迦の右に見えるのは孔雀やで」とD氏。
明星、八剣が見える。
奥八人と釈迦、孔雀 | 南八人 |
12:00 再び中八人山。
いったん浅い鞍部に下りるところから南八人がきれいに見えた。
すっきりした山だ。
12:35 南八人山山頂。
笹の中の分岐を右へ取る。
ほどなく絶好の展望台へ出た。
西八、中八、奥八、その後ろに大峰山系。
「わぁー、ええやん、めっちゃええやん」
南八人山からの展望。手前左、西八。中央、中八。右奥、奥八。後ろは釈迦、孔雀、明星。 |
笹の中を下るとモノレールに出合った。
あとは登った道を用心しながら忠実に下る。
14:10
植林小屋そばの沢でほっとしながら一本取る。
絶え間なく流れる水は雨や雪が山中に沁み込んで濾過されてるんだろうが、ほんとに絶え間なく、しかもきれいだ。なんか不思議な感じがした。
14:40
下山。
帰りは「夢の湯」で汗を流した。
なお、せきやんは、池原からの林道のゲートが閉じていたから、行仙側へ回った。ところがそこも閉じていたので、再び池原へ引き返し、予定通り持経の宿から誠証無漏岳、奥八人、中八人、南八人と歩き(いや、彼のことだ、歩くと言うよりトロット、いやいやいや、ギャロップだったかもしれない)、これまた予定通り持経の宿で待っていてくれたとのことである。
DOPPOさん:No,402 八人山4座 大峰南部