癒しの森―芦生 (May 22/23, 2004)

(一)合流編
 6時半にHAMAさん、森姉さんと合流し高速に乗り山科に着いたのが7時40分。
 コンビニでパン、弁当を調達。
 8時、JR組のどんさん、くみさん、春風さん到着。
 ほどなく見覚えのあるランクルがロータリーを回る。panaちゃんだ。小走りで近づくとハンドルは旅人さん。
 「やあ、来れたんですね」
 多忙の時期で休日出勤もちょくちょくあるらしい。
 「知りませんよ〜、月曜日、机がなくなってても」
 これで8人である。

 湖西道路を真野で下りて左折するとコンビニがある。
 そこで、RINちゃんとヒロコつながりのお友達二人。
 もう一人、鈴ハイの青年さん。
 これで12人。あとは、登山口で待ちあわせのようである。

 4台で朽木方面へ。
 坊村から御殿山への登山口を過ぎ、梅の木で橋を左に渡る。
 道路脇には緑の中に小さな黄色い花が咲いている。ピンク色のタニウツギが咲いている。かやぶきの民家がある。

 登山口の駐車場で身支度をしていると鈴ハイの人らしいランクルが到着。
 「やあやあ」と言いつつ車から降ろされる食材の山。僕は目がテンになった。
 これでもまだ全員ではないらしい。
 「テント持参組は先に行ってテント張っといて〜。あたしは、あとから来る人を待っとくから」とpanaちゃん。
 食材を適当に分け持って旅人さんを先頭に歩き始める。 

 ゲートを抜け、なだらかな勾配の林道を、誰彼となく話題もまたあれやこれやと40分ほど歩いたろうか、地蔵峠である。ここで一本。
 谷へ下りる山道に入るとすぐ平坦になり神社の前を通り丸木橋を渡って左折。ここも平坦な林道だ。
 右が山になっていて、左は湿地帯の中をさっき渡った川が流れている。
 「ええやんか」
 緩やかに右へ曲がると、見覚えのある光景が目に入った。panaちゃんの写真で見た小屋である。小屋の前は広く芝生が敷き詰められている。
 「ああ、僕もついに芦生へ来たんだ」
 そんな実感が湧いてくる。
 小屋の隣がテント場。7張り設営。そろそろ昼ごはんにしようかと言う頃、
 「オーイ」
 とpanaちゃんの元気な声が聞こえてきた。
 霊仙でお会いしたたろーさんはじめ数人の方が来られてこれで全員集合である。

 僕はいつものようにコンビニで買ったいなり寿司と海苔巻き。
 「ういろうどうぞ〜」
 「冷やし飴作ってきたんやけど〜」
 「鯖寿司どうぞ〜」
 
 円を作って、それぞれが自己紹介。総勢19人である。

シンコボへの谷 トチの巨木

(二)野田畑湿原からシンコボ編
 ザックを軽くして出発。
 さっきの道を引き返して丸木橋を渡らずに真っ直ぐ行くと右手に湿原が見える。手前を浅い川が流れている。
 「いいね、いいねえ」
 その川を渡り分岐を右へ、どうやら野田畑湿原の縁を巻いて谷へ入るようだ。
 谷は広く、平坦である。その中を浅い川が蛇行しながら流れていて、ブナやトチの巨木が点在している。
 山道を歩くというより森の中を逍遥する気分だ。蛇行する浅い川を何度も何度も渡り奥へ奥へと歩きながら、panaちゃんがぜひと誘ってくれた芦生の魅力の一端に触れたような気がした。このままあてどもなく歩いてみるのも悪くない。そんな気にさせられる。
 「癒しの森 芦生」を実感した。

 野田畑峠で一本。シンコボへはここから尾根伝いでも行けるし、もう少し谷に沿ってもよい。どっちにする? そりゃあ、谷を歩こう。
 谷が狭くなったところで尾根に乗っかる。
 登りきったところが杉尾峠への分岐であるらしい。シンコボまではもうあとわずか。
 シンコボでは何の鳥だったかすぐ近くで鳴いている。

 toriyaさんは、三脚つきの望遠鏡と集音マイクを重さをいとわず持って来ておられて道中何度も立ち止まっておられたようである。
 「やあ、堪能しました」なんておっしゃってた。
 帰りは尾根伝いに野田畑峠まで。

 野田畑峠からはまた谷の中を歩いた。
 この浅い川は長いスパンで見れば谷の中で何度も川筋を変えて流れているのではないだろうか。雨や雪解け水で流された土がこの谷を埋め平坦にし、更には下流で湿原を作っているのかもしれない。


(三)夕食編
 テント場に戻って夕食の準備。
 大鍋二つが据えられ中華風鍋ときしめん鍋。もうひとつは天ぷらを揚げる。
 いやいやすごい。
 僕はお湯を沸かし焼酎を飲む。いつもだと一泊なら500mlの半分近くは残るのだが翌朝気がつくと全部飲んでしまっていた。

(四)朝食編
 6時にテントを出るとすこしふらついた。
 早起き組は鳥の声を聞きに出かけたらしい。
 彼らが戻って、朝食は茶粥。これまた大鍋が大活躍だ。
 お漬物も豊富。
 
 テント場のすぐそばの高い木のてっぺんと、小屋の向こうの高い木のてっぺんに鳥がとまって鳴いている。toriyaさんが望遠鏡を据えそれを覗き込むとほんとうに目の前にいるかのように見える。くちばしの長い鳥だった。


(五)杉尾峠編
 きのうは野田畑湿原の縁を巻いてシンコボへ行ったけれども、今朝は左の杉尾峠へ向かうとのこと。
 きのうと同じような地形の中を歩く。まるでトンビのような鳴き声が聞こえた。アカショウビンと言うのだそうだ。ところどころにまるで取り残されたような池がある。イモリがいた。池のそばの木にはカエルの卵らしいまるで綿菓子のような白い塊があった。
 川は徐々に細くなる。聞けば由良川源流にたどり着くのだと。
 ゆるく登ってまもなく杉尾峠の手前にその源頭部があった。
 土の中から染み出てくる一滴一滴の滴りである。
 杉尾峠からすぐそばのピークに登れば日本海が見えるのだとか。残念ながら霞んでいたけれど。

ブナ 由良川源流のひとつ

 引き返す途中で望遠鏡を覗かせてもらうと、木の枝にミソサザイがとまっていた。
 
(六)昼食および撤収編
 テント場に戻って昼食は餃子鍋。
 考えてみたら、夜、朝、昼三食19人分なのだからすごい食材の量である。
 よくもまあこれだけ準備されたことである。panaちゃんはじめ鈴ハイのみなさんに感謝。

集合写真。とっても楽しかったです。

 撤収して、小屋の前で記念写真。
 そばで昼食を摂っておられたお兄さんが「撮ってあげましょう」と。

(七)三国峠を経て下山編
 下山は神社の前を過ぎて、地蔵峠へ戻らずに三国峠から下ると言う。
 これまた川に沿って平坦な道を歩いていたがついに登りになった。
 二日目のおしまいにやっと山登りらしい道である。汗をかいてほどなく三国峠。
 どうやらテント場でお見かけしたpanaちゃんの沢仲間の方とここでもまたお会いした。
 この三国峠から駐車場までの下山道はさほど長くはなかったがかなり急な下りだった。
 panaちゃんの真似をしてブナに耳を当てるとたしかに「ゴォーッ」と音が聞こえた。
 朽木の中を走り、てんくう温泉。
 とっても楽しかった。
 panaちゃん、鈴ハイの皆さん、ありがとうございました。



panaちゃん:芦生テント泊
HAMAさん:芦生の森
どんさん:芦生の森を訪ねて