弥山―今年もオオヤマレンゲを (Jul.3, 2004)


 年齢は不詳だがわが娘のやうにかはゆい春風亭のオオヤマレンゲへの思慕は私の知る限りでももう二年越しになる。
 先だつての飲み会の時も幾分鼻にかかつた声で「オオヤマレンゲ見に行きたーい」。
 さう言はれれば放つて措きやうがない。

 この土日、どちらかと言へば土曜日の方が天気は良ささう。春風亭もさう言ふ。
 では、土曜日に。
 milionさんも休みが取れたから、カズさんも行きたい、と話が決まつて、それぞれと待ち合はせてトンネル西口へ向かふと溢れんばかりの車の数である。
 先行したRINちやんからすでにその情報は得てゐたが今までにない車の数だつた。

 振り返つてみればこのオオヤマレンゲの時期にトンネル西口から登るのは2001年以来である。だうやらトンネル西口から登るのもそれ以来のことである。

 少し引き返し路肩に無理やり押し込んだ。
 旅人さんの車があつた。RINちゃんの車は悠々と登山口のすぐそばにあつた。
 
 奥駈出合への尾根の直登ルートはかなりきついからmilionさんが「沢ルートで行きましょうか?」と。もちろん異存はない。

 だうやら一箇所崩落のために高巻きしたやうな新道の急登があつた。
 一本取つて尾根に合流すると奥駈出合はすぐだ。
 幾人かが休んでおられた。あの車の数だもの今日は多いに違ひない。
 
 奥駈出合から聖宝の宿までは比較的なだらかな尾根歩き。さうかうするうちに見覚へのある人たちの後ろ姿を捕まへた。
 さう、panaちやん達のパーティだ。
 「おーい、panaちゃーん」
 西大台でご一緒した、えつちやん、くまさん、たろーさん、観音峰でご一緒したtoriyaさん、芦生で自家製の冷やし飴をいただひたきこりさん、そして、旅人さん、panaちやん、そのほかの皆さんの姿が見へた。
 「やあやあやあ」
 鳥の声に耳を傾け山道に咲く花に足を止めながらの山歩きだ。無粋な僕にはなかなか出来ないことである。
 さうかうするうちに派手な衣装の二人組が下りてきた。
 さう、先行したRINちゃんと、せきやんだ。
 なぜか二人とも半ズボンに赤いTシャツを着てゐてなんだか妬けてしまつた。しかもせきやんは半ズボンの下に黒タイツを穿ひてゐる。「何だよ、その格好はよぉ」。それにしても二人の早いこと。

 聖宝の宿で一本。
 バイケイソウと思はれる花に蝶が一羽。皆さん写真を撮つておられてその蝶の名前も飛び交つてゐたけれども忘れてしまつた。
 ここから弥山までの巻道の随所に木の階段が付けられてゐた。
 狼平から弥山へ向かふ道にも付けられてゐる比較的勾配の緩やかな階段だつた。
 ふうふう言ひながらやつとこさ弥山小屋。
 八方国見覗で昼ごはん。小屋周辺にもこのテント場にも予想にたがはぬ人の数であつた。

 ごはんを終へて八剣への鞍部に下りる。下りきつて八剣へ登り返す頃からオオヤマレンゲの群生がある。瑞々しく甘い古風な香りだ。

昼食―八方国見覗 オオヤマレンゲ


 鞍部も八剣山頂も人でいつぱい。
 milionさんは、こんなに展望の利く八剣山頂は初めてではないかと。
 オオヤマレンゲは、何十年ぶりらしいカズさん。
 そして、そつとオオヤマレンゲに鼻を近づけた春風亭。
 

 それぞれがそれぞれに弥山・八剣を堪能して同じ道を引き返した。
 奥駈出合からは尾根をつま先をツンツンさせながら下つた。この時期だけの現象かも知れないが多くの人が歩ひたらしい痕跡があつた。
 たぶん天川温泉は満杯だらうからと、黒滝の美吉野の湯で汗を流した。




milionさん:オオヤマレンゲの弥山、八経ヶ岳

panaちゃん:大峰山系 弥山(1895m)・八経ケ岳(1915m)