しんしんと、大普賢岳 (Feb.20, 2005) |
大普賢山頂 |
弥山・八剣から帰った翌日の日曜、石が疼いた。痛み止めの飲み薬を一錠ずつ2回飲んだが効き目がなく、昼を過ぎて座薬を使う。夜になってまたもや疼いた。再度、座薬を使わざるを得なかった。
月曜、普通に出勤したが10時を廻ってゾクゾクと寒気が襲い、社内でマフラーを巻きオーバーを着込んだ。
石の痛みは治まったものの、以来、くしゃみ、鼻水、鼻づまりで涙目の日々である。
それなのに、である。予報に反して好天の土曜の朝、先週の余勢を駆って、いとも安直に「行きましょか。(^O^)」と手を挙げてしまったのだった。
大普賢から山上ヶ岳への奥駈道は歩いたことがあるし、今回の上谷から大普賢へは昨年の4月17日にピストンした。だから、雪深い箇所の予想もできたし、危ないところがあるとすれば明王ヶ岳からほんのわずかに下る岩場あたりかと思われ、まあ、なんとか行けるだろうとは思っていたのだった。
がしかし、前回の弥山・八剣同様、思いのほかの雪の量は様相を一変させる。雪のない山道を、普段はいかに漫然と、それしかないと、ごく当然のように歩いているかを痛感させられる。雪道であるがゆえの厄介さだけではなく、通常の夏道とは異なるルートを選択しなければならないこともしばしばである。道は、あるから道なのではなく、歩いてこそ道になる。
我等が機関車D氏、エネルギー横溢の貴公子タンタン、猛者ぶりはかねがねお聞きしてはいたが今回初対面のごましおさん、その中に混じる病弱の郭公である。「あらあら、まずかったかな」とは思いつつも、みなさんのおかげで、僕も大普賢山頂まで行けたのだ。
05:00 二上山麓の某所で待ち合わせ。
2月の早朝とはいえ雲に覆われたせいかずいぶん温かった。
06:55 上谷の神社前で、装備を整え出発。この時もまだ温い。
いきなりの急登。かなりきつい。
07:20 柏木分岐。
ここから尾根に沿うが、雪はまだなかった。
天竺平を過ぎる頃から風を伴い雪になった。粒粒の雪が頬に痛い。
徐々に高度を上げるにつれてなかば凍りかけた残雪になり、水場までの長い巻道はすっかり雪に覆われていて、往路はワカンも履かずに靴のまま歩いたけれど、所々では膝まで潜ってしまう。雪の斜面のトラバース、心穏やかではない。一人だったらきっとここで引き返していたことだろう。
08:35 尾根上にて。猛者三人組です。 | 水場 |
09:40 水場。
雪がなければ岩場をとんとんと登るところだ。足を取られながらようやっと水場の上へ。
ここでワカンを履く。
10:05 伯母谷覗。あいにくの空模様で大普賢は見えなかった。ここからの大普賢は素晴らしい。
夏道はこの伯母谷覗から谷の上を巻きつつ阿弥陀ヶ森分岐(結界門)へ付いているが、雪のために巻道への入口さえ不分明であり、尾根に沿う。
10:35 阿弥陀ヶ森、最高点。
この尾根道は歩いたことがなかったから、このピークの標識も今回初めて見た。斜め右に徐々に下ると、阿弥陀ヶ森分岐、山上ヶ岳への結界門が下に見える。なるほど、そうゆう地形になっているのか。
10:40 がさごそと雪を下り阿弥陀ヶ森分岐。
阿弥陀ヶ森ピーク | 阿弥陀ヶ森分岐(結界門) 撮影 ごましおさん |
0:55 脇宿。 脇宿の岩を右に巻いて、稜線に戻り、いよいよ明王ヶ岳への登りになるが、経箱石の道標のあたりから、明王の手前で尾根に乗るように道は付いているはずで、またここは遅くまで雪の残るところだし、かなり深いと思う。結局、先行の猛者三人のトレースは、左のより高い地点、経箱石側に付いていた。なるほど、明王ヶ岳、直登ルートである。 |
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脇宿 |
明王ヶ岳 | 大普賢岳 |
12:00 明王ヶ岳
大普賢山頂は寒くてゆっくり座ってもいられないだろうからと、ここにザックを置き、空身でピストン。
明王の岩場を下り、雪を被ったややこしい藪を右に巻いて鞍部に出ると、一段と素晴らしい雪景色だった。高度に伴い気温も低く、かつ踏跡もない「しん」と引き締まった無垢の世界である。
明王ヶ岳までふうふう言いながら登ったせいか、大普賢まであとわずかのこの鞍部に出て、目を奪われた。 |
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素晴らしかった。 (撮影はいずれもごましおさん) |
大普賢山頂直下、和佐又からの道にもたっぷりの雪だった。
12:30 大普賢山頂。
残念ながら視界はなかったけれど、なんとか来れたのがなによりうれしい。やはりここまで来てみなければ味わえないものがあるのだ。
写真を撮り合って引き返す。山頂の端の和佐又方面への尾根沿いに、今朝の早くか、昨日かは不明だが踏跡があった。
13:00 明王ヶ岳まで引き返し、お昼ご飯。いつものように巻き寿司と稲荷寿司。ごましおさんからビールを頂戴する。
食べている間に首に巻いたタオルは凍り、はずした手袋も凍る。
朝は比較的温かったけれど、また寒波が来ているのだろう。粒粒の雪も間断ない。
14:20 阿弥陀ヶ森ピーク。
伯母谷覗 和佐又方面に日差しが見られた。 | 伯母谷覗 (撮影はいずれもごましおさん) |
14:45 伯母谷覗。やっと和佐又山、大普賢のすそあたりが見える。
トラバース | 陽射し |
水場を過ぎいよいよ長いトラバース。復路はワカンを履いて下る。
ワカンの爪が雪をつかんでくれるが、靴そのものは谷側へずれる。谷側の左足は捻挫予備軍状態である。斜度のある雪面のトラバースはかなり緊張するけれど、これもまた慣れるしかないのだろう。慣れるにつれて、自分自身として行ける範囲が少しずつ広がっていくのではないかと思う。
なにはともあれ、事故もなく通ることができてひと安心。
トラバースを終えて尾根道を歩くころやっと日が射してきた。
17:00 登山口着。
DOPPOさん、タンタンさん、ごましおさん、お疲れさまでした。
この時期、僕も大普賢山頂に立つことができました。
おおきに〜。
DOPPOさん:No,433 伯母谷覗から大普賢岳 大峰北部