尾鷲道―大台ヶ原から又口辻まで (Apr.23, 2005)

 大台ヶ原以南もまた台高山系の一部。尾鷲道と呼ばれているようだ。
 手許にある1995年版の大台ヶ原の地図では尾鷲辻から又口辻を経て古和谷林道まで破線、実線でルートおよび、標準タイムも記されているが、2004年版では木組峠までしか載っていない。国土地理院の25000分の1の河合、引本浦、50000分の1の尾鷲と数種類の地図を見ながら尾鷲、大台ヶ原間を検討。最近はあまり人が入っていないようなことも聞く。
 ネットで検索しても記録が見当たらないから、自分の目と足で確かめてみよう。
 4月22日(金)、午後3時に大台ヶ原へのゲートが開くとのこと。翌土曜、天気も良さそう。さっそく行ってみることにする。
 さて、どこまで行けるか。

05:15 大台ヶ原駐車場。
 すでに20台ほど。道中路肩崩壊数箇所。残雪もあった。気温4度。携帯は圏外だった。
 今日も快晴。ひょっとしたら日出ヶ岳から富士山が見えるかもしれないと思いつつも、右、尾鷲辻へ向かう。

尾鷲辻から入る。随所に倒木。 堂倉下部。平坦で広い。

06:00 尾鷲辻。
 亭の横を抜ける。道は広い。これが第一印象である。随所に倒木があり道を塞いでいたがほぼ平坦で、やや下るせいか快適に進む。地図では、この尾鷲道は稜線のすぐ下、大峰側を通っているから稜線の起伏に影響されずに歩きやすい。風雨をいくらかでも避け、楽に歩けるようにとの先人の知恵であろう。

P1382あたりから。大蛇グラ。 穏やかな尾鷲道。

 堂倉山直下は広く平坦であり、テープがなければ迷いそうだ。
 また、出かける前は漠然と鬱蒼とした森の中を歩くイメージを持っていたが、ずいぶんカラッとした自然林の中の道だった。これが印象の第二点。
 巻道は、ところどころに崩壊箇所があったが、高巻いたり、稜線に乗ったり、強引に突っ切ったりしながら歩く。稜線上にも踏跡はありテープもある。言ってみれば巻道でも稜線でもどちらでも歩ける。
 
 道に沿ってピークを巻くと、どうやら雷峠に出たようだ。ふうふう言いながらピークへ向かう。振り返ると大峰山系が一望された。

コブシ嶺(北峰としておく) 北峰から南峰へ
コブシ峰(南峰としておく) 南峰から尾鷲の海が見えた。

07:50 コブシ嶺
 穏やかで展望のいい稜線だ。
08:00 再びコブシ峰の山名板があった。
 ここからの展望はさらによい。
 尾鷲の海も見える。大峰山系はもちろんのことこれから行く台高山系の山並みも一望できた。
 一見すると雷峠上のコブシ嶺が高そうだ。こちらはコブシ峰南峰とでもしておきたいところである。

コブシ南峰から縦走路を。

 一本取ったあとぐんと下る。
 南へ、次の山の方へ下ると、かなり下まで下りそう。どうやら稜線は西側から巻いているようだ。右へ右へトラバースするとヒメシャラの森の中にテープがあった。

コブシ峰から下る途中で。 下ると広く平坦。どっちへ行くのか迷いそう。
巻道の崩壊。数箇所あり。 木組峠。

09:25 木組峠
 思ったより早く着いた。
 予定はここまでだったがもう少し先まで歩いてみよう。
 ここから道は稜線の尾鷲側を巻く。

神明水 又口辻

10:00 神明水
 ずいぶん細い。ポリタンを満たすには時間と工夫がいりそうだ。
10:25 又口辻
 ここが、橡山からの稜線との交点になっている。
 地図では南の柳ノ谷へも道が付いているが、その入口がすでに藪状態になっていた。おそらくだが、柳ノ谷側からは稜線の道の方がよく歩かれているのかもしれない。
 橡山側へほんの10メートルほど入り一本。橡山側からの道はしっかり踏まれている。
 尾鷲の街並みは眼下である。
 このまま下りても夕方の特急に間に合いそうだ。
 大台ヶ原に停めている車は明日にでも取りに行って、このまま下りてしまおうかとさえ思ってしまう。まあ、そうはいかないけれど、ここまで来れて良かった。
 尾鷲から大台ヶ原へ行くには、
1.クチスボダムそばの橡山への尾根から橡山を経て稜線を又口辻へ向かう。
2.クチスボダムから北へ古和谷林道を詰め、標高509mから山道に取り付き橡山から又口辻への稜線の途中に出で又口辻に向かう。
3.1995年版の昭文社の地図にあるように、古和谷林道終点から又口辻へ向かう。
 ただ、地図上でも不明瞭なこともあり、どのルートがよいのかいまひとつよくわからない。2.が時間的にも無難なような気はするけれど。

【追記】
 稜線から見た、橡山。中腹に左の鞍部、水無峠からの橡山林道。後ろは引本浦。尾鷲の町は橡山の向こう側になる。

10:45 又口辻発
11:10 神明水
11:30 木組峠

ツツジ 稜線

 巻道ばかりでは面白くないので稜線を歩くことにする。いずれ一本木で合流するはずだから。そう思って稜線に取り付きテープもあり、気持ちよく歩くと、どうやら行き過ぎたようだ。往路の稜線が左に見えた。「あらあら」
 引き返すのも面倒だったから、平行に巻くと、かすかながら踏跡もあり、どうやら先人も似たようなことをやってるなと内心笑みがこぼれてしまう。
12:25 一本木
 ここで昼食。いつものコンビニ弁当。巻き寿司とお稲荷さん。
 後々、巻き寿司に付けた醤油でのどが渇いて仕方なかったけれど。

 コブシ峰南峰への登りはかなりな急登。ここが唯一きつかった。
13:30 コブシ峰南峰
 お茶をごくごくと飲む。
 さすがに疲れも出てきて、足の裏が痛くなってきた。
14:00 コブシ嶺北峰
 雷峠へ下りずに稜線を伝うことにする。

石楠花の蕾 コブシ

15:00 堂倉山直下の巻道で一本。
 ほどなく広くて平坦な堂倉山のすそに出た。ピークも踏んでおこう。
15:20 堂倉山
 もうあとわずかである。

尾鷲道 堂倉山

16:05 尾鷲辻
 日出ヶ岳へ行く元気もなかった。

マンサク せきやんメモ

16:50 大台ヶ原駐車場。
 ワイパーに、せきやんのメモがあった。
 往路約5時間、復路約6時間だった。
 尾鷲道と呼ばれているように、まさに「道」だった。

大普賢岳。大台ヶ原誘導路より。