神仙平から、大峰奥駈最深部 (Apr.30-May 1, 2005)

 神仙平へは過去機会はあったものの、あれやこれやの事情で行けずじまいだった。
 天和山から、唐笠山から、近くでは中尾尾根から見るたびに「いつかはぜひ」と思い続けていたのだったが、ようやくその機会を得た。DOPPOさんの企画にいの一番に手を挙げたのは僕だ。(^O^)

 七面山登山口に車を置き、林道を神仙平入口まで歩く。神仙平から奥駈、舟のタワへ登り、楊子ヶ宿、仏生を経て、孔雀の手前で幕営。
 二日目は釈迦までピストンして、七面を下る。
 以上が今回の予定である。

4月30日(土)
 hiroさん、milionさんと金剛駅で合流。五条の待ち合わせ場所には安芸さん、雪ちゃんがすでに到着。森の音さんとどんさん。DOPPOさん、HAMAさん、くみさん到着。panaちゃん旅人さんが到着。おや、きょうはpanaちゃんが運転しているぞ。円さん号は夢の湯手前の分岐で待っているとのこと。
 その分岐で右の迂回路に入ったとき、左の殿野側に円さんのんぶーを発見。
 宇井から入るのではなく殿野から山越えで行こうという。
 Uターンして最後尾を走る。林道を横切る溝の一箇所に鉄板がないのは気がついていた。前輪はよけたけれど右後輪がその溝にはまり込んで大きな音を立て、その後、車は震動が激しくなりスピードも出なくなった。やれやれ、パンクである。ジャッキアップするのにくるくる廻す長い棒が見当たらない。あらあら、仕方がないからウエストポーチに入れていた鋏を使って少しずつ廻しているうちに、D号が引き返してくる。
 「あんまり遅いからなんかあったんやでぇって引き返してきたんや」
 そのくるくる廻す棒を借りてジャッキアップしてスペアと付け替えた。ふう。

神仙平への林道 カラハッソウ谷入口附近にて

 かなりな悪路をゆっくりと走り七面登山口に駐車。ここからさらに林道をつめる。
 神仙平の入口は、ガラガラの涸れ沢みたいな岩場だった。大峰山系でこんなところは初めてだ。

カラハッソウ谷

 正面に奥駈の稜線が見える。舟のタワあたりである。
 涸れ沢をつめて右に攀じると草付きの台地、ここが神仙平。厳密に地図に従えば、七日迷、迷平になるのかもしれない。神仙平はやや下の平坦地を指しているようだ。
 明瞭に道があるわけではなく、鹿がつけてくれた比較的歩きやすい道を選んで登り平坦なところで一本。

神仙平から 神仙平にて

 誰もが思い思いのルートで登ってきて一様に歓声を上げる。もちろん僕もその例に漏れない。
 ここから奥駈へもそれぞれがそれぞれにガリガリと登る。急登である。僕は傾斜の緩やかな右へ右へと徐々に寄ると、偶然にもピッタリ、舟のタワに着いた。
 2001年5月、ここで幕営した。奥駈に横たわる倒木はやや風化していたがそのときのままだった。

 年配のお二人、どうやら写真がメインのようである。
 舟のタワの北のp1658から東へ下る尾根、鳴尾に池があるのだという。地図では確認できないがかなり大きい池らしい。それを見てきたのだそうである。キジの長くてきれいな羽根を数本持っておられた。「これあげるわ」と安芸さんに一本。

 日帰りの安芸さん、雪ちゃん、森の音さんを七面山遥拝石で見送る。p1633を右に平行に巻いて七面山から下山予定である。
 見送った後、僕たちは左に巻いて楊子ヶ宿へ。
 このp1633を巻き終えた地点の平坦なところでも過去二度幕営したことがある。一回目は釈迦から、二度目は弥山側から。この二回で釈迦と弥山を繋いだのだ。
 七面山東峰の断崖を見ながら、新しい楊子ヶ宿小屋を過ぎ、仏生の右を巻きつつ緩やかに登る。仏生ヶ岳へはこの巻道のどこからでも登れないことはないが山頂付近では藪になっていて木の枝をポキポキさせながら突っ切ることになる。孔雀側に近くてすんなり登れる道があり、そこでピークを踏んでくる人たちを待って一本。
 「きょうのテン場は、あの岩岩した山を左に巻いて向こうに出たとこ」
 その岩岩した山の左にはまだまだ雪が残っていた。巻き終えたあたりから東へ孔雀尾根が下っている。この孔雀尾根もお気に入りだ。

 テント場に着いたのは16時を回った頃だったか。
 一度は仏生から東へ下る大黒上尾を登って、二度目は十郎山から孔雀尾根を登ってここで幕営したことがある。
 設営を済ませて鳥の水へ。取水口は2本あるがそのひとつは落石で水脈を外れてしまったのか涸れていた。
 予報では晴れだったがやや曇り加減である。

 旅人さんが、単独で泊まって怖くないか?と聞く。怖いです。怖いから酒飲んでさっさと寝ますねん。とは言え、本当に怖いのは熊くらいであろうし、その熊だって月の輪熊だから、よほど出合頭で接近しないかぎり襲いはしないだろう。


5月1日(日)
 天候は曇り。あいにく展望はなかった。雨具を着け空身で釈迦へ向かう。
 孔雀から釈迦の間が奥駈道の核心部と言っていい。岩場あり、鎖場あり、キレットあり。
 巨大な岩の下で一本。円さんから珍しい食感の飴が、くみさんから甘栗が回ってくる。
 痩せ尾根も慎重に全員無事通過。ふうふう言いながら登ると釈迦像の光背が見える。
 「HAMAさん、着いたで〜」
 「ほんまや〜」
 きょう弥山まで行かれるという単独の方にお会いする。

釈迦からの下り

 復路も慎重に難所を通過。
 頭の中でビージーズの曲が鳴っている。題名はよくわからなかったが、メロディを口ずさむとのんぶーが「うんうん、ちょっとちゃうけどなんとなくわかるわ」

幽玄の奥駈道

 テント場に戻りザックを担いで、昨日の道を引き返すと岩岩の山の手前で昨日の御二方と再会した。どうゆう話になったのかpanaちゃんが残りの羽根三本をいただくことになった。
 「わっ、ええやん。僕も欲しいな」
 「うんええよ、あげるでぇ」
 というわけで、僕も一本頂戴することになった。

 楊子の森p1633を登り七面側へ下り鞍部で昼食。
 水は豊富にあるからラーメンを作る。中途半端に残ったガスを二つ持って来てひとつは昨日のテン場で使い切った。

 七面東峰への分岐へふうふう言いながら登る。
 山頂へ登った人たちを待って一本。
 西峰へは痩せ尾根を伝う。
 ここで不思議な方と遭遇した。「仏生へ行きたい」とおっしゃる。「日帰りで?」「ええ」。それはちょっと無理な話だ。詳細は省くが、僕には占い師に見えた。「仏生へ」とお告げがあったのではないか。
 なんて噂をしながら14時50分林道に下りた。



森の音さん:ええとこどり日帰り七面山一周

DOPPOさん:No.439 大峰奥駈ハイライト―釈迦ヶ岳・孔雀岳・仏生ヶ岳・楊子ヶ森・七面山

円さん:「奥駈道」―神仙平・楊枝の森・仏生ケ岳・孔雀岳・釈迦ケ岳・七面山

HAMAさん:大峰の奥駈けええとこ取り―神仙平〜仏生ヶ岳〜孔雀岳〜釈迦ヶ岳〜七面山

安芸さん:神仙平から奥駈道へ

milionさん:奥駈道を歩く―神仙平から釈迦ヶ岳

panaちゃん:大峰ええとこ総取りテント泊―憧れの神仙平を行く

どんさん:神仙平から奥駈道、釈迦ケ岳