弥山、八剣―オオヤマレンゲを胸いっぱいに 
(Jul.10, 2005)


 前日、靴を新調した。かかとの内側の縫い目が左右ともにほころびかけていて、歩くたびに広がっているようだ。当然ここから水が浸入する。いつ何時大きく開いてしまうかもわからない。靴底は二年前張り替えたが、だいぶ傷んでもきたから、買い替え時なのだろう。
 偶々セールをやっていて、色はいまひとつ気に食わなかったけれど、型もサイズも前のと同じのを1万円以上安く買えた。

 夜中の二時に目が覚めた。
 外は小雨模様ではあったが、とりあえず登山口まで走ってみて雨の降り方次第でその後のことは考えることにしよう。

 三時過ぎに自宅を出て、行者還トンネル西口の登山口に着いたのが五時半。
 天川側からの道は、この登山口手前五分くらいのところで橋の付け替え工事をやっている。駐車スペースには工事用車両が一台だけ駐まっていた。
 行者還トンネルそのものは開通していて東口からマイクロバスが二台、その乗客と思われる団体さんが輪をつくりウォーミングアップの最中だった。

 曇ってはいたもののさいわい雨はなかった。山の上の方はガスが付いている。
 左手にストック、右手には390円のビニール傘を持ち、まずは稜線への急登である。
 ザックも軽いし、気は急くけれど身体が言うことをきかない。吹き出る汗を拭こうとしたらタオルを車に忘れてしまった。やや風があったのがありがたい。
05:30 登山口
06:20 奥駈出合
 ノンストップで通過し、石休場宿跡あたりで小雨になった。雨具を着けるほどでもないから傘を差した。10分ほど差したろうか、ほどなくやんだ。しっとりと濡れた穏やかな稜線歩きも悪くない。
07:05 聖宝宿跡
 理源大師像、修験道中興の祖と言われている。百貝岳登山口の鳳閣寺に廟塔がある。
 道は右へ巻き徐々に登る。再び稜線に乗ると弥山はもうすぐだ。
07:50 弥山小屋
 どうやら狼平側かららしいパーティがあり、山名板を撮ろうと近づくと「おおっ」と声がした。こまくささんである。「あれー」。
 そういえば一昨年は狼平で遭遇した。

 八剣へ向かう鞍部に下り、登り返すあたりからオオヤマレンゲが咲いている。
 仲間内の情報では今年は「表年」だと言っていたが、たしかにその通りで例年になく花の数は多かった。顔を近づけ瑞々しい甘さを胸いっぱいに吸う。「そうそうこれこれ」。
 ある方に頼まれてもいたので意識的に何枚も何枚も撮ったが、風もあり、かつ近づいて撮るとピントが合わないようで、ぼんやりした写真ばっかりになりそうだ。

08:40 八剣山頂
 二月、雪の中を来て以来になる。
 復路でもまた何枚も撮った。

09:30 弥山小屋
 下りかけるとまた雨になった。傘を差す。
10:00 聖宝宿跡
10:30 奥駈出合
 新しい靴は前のと同じ型同じサイズだから取り立てて違和感もなかったが、この頃から右くるぶしの外側が痛くなってきた。履いてるうちになじんでくるだろう。おろしたてなのに雨の中泥んこにして申しわけなかった。
11:10 登山口そばの沢で、ポリタンに水を汲む。
 車に戻り着替えるとシャツもズボンもやたら重かった。
 午前中に下りれたのがなんだかうれしかった。
 天川川合交差点そばで豆腐を二丁。


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