伯母谷覗から大普賢 (Jul.17, 2005)
HAMAさんにナンパされた。
メールだけれど、HAMAさん独特のやや語尾が下がる低い声が僕にははっきりと聞こえた。
「郭公ちゃん・・・、山行こうなぁ・・・」(原文どおりではない)
ドキドキしながら、まだ何処へとも思いつかないうちに、ピッケル君から元気なメールが来た。
「郭公さ〜ん、日、月、どっか遠出したいんやけど〜」(これも原文どおりではない)
7月14日(木)の出勤前のことである。
打ち合わせの後、7月17日(日)朝8時、川上道の駅で三人が合流したのだった。
コースは、上谷から伯母谷覗、阿弥陀ヶ森を経て大普賢、下山は和佐又へ。
ピッケル君と僕は最初からそのつもりだった。でも、HAMAさんの意見も聞いておこう。
「どっちが楽なん?」
「そりゃ、和佐又からの方が楽やで。あとは下るだけやし」
「ほな、そうしような」
僕とピッケル君は顔を見合わせた。
「でも、上谷からでもたいして時間はかからんで」
「山はやっぱり登らんと」
僕とピッケル君はそれとなく上谷からを推す。
「ほな、そうしようか?」
HAMAさんの考えが変わらないうちに、
「じゃ、まず和佐又ね」
和佐又に車を一台デポし、上谷の登山口に着いたのが9時ごろ。
いきなりの急登をこなし約25分で尾根に出る。
ここからは比較的楽だ。
水場。すぐ上にキャンプ適地。 | 伯母谷覗 |
何度か登ったことがあるとは言え、ところどころ記憶が抜けている。道そのものは間違いようのない一本道だが、水場のあるキャンプ適地まで記憶以上に長かった。
岩場をトントンと上がるところでは水が涸れていて「あらあら」と思っているとやや上に細い沢があった。ポリタンに汲んでほどなく伯母谷覗。
HAMAさんが恐る恐る下を覗く。
「写真撮ろうなぁ」と僕が谷側に立ちHAMAさんと並ぶと横から押してくる。
「こら、すなすな」
HAMAさんはどうも僕に殺意があるのではないか?
いつかの芦生の丸太の橋の上でもそうだった。橋から落とそうとするのである。
ちょうど12時になったのでここで昼ごはん。
食後は近々の遠出の予定について。
僕は二泊三日で、広河原からまず鳳凰三山をやって早川尾根から甲斐駒、北沢峠へ下山の予定である。
ピッケル君が地図を持って来ていて「どれどれ」とタイムを足し算する。
「鳳凰小屋から仙水小屋まで10時間、そらきついでっせ」
「なあに、行けるって。大丈夫」
「いや〜・・・」
このときは僕自身まだその予定でいたのである。
じつはもうひとつタンタン氏のお勧めがあった。
黒戸尾根から甲斐駒、早川尾根、鳳凰三山を三泊四日である。
一日の行動時間は短くなるから魅力ではあった。「なるほど」とは思ったが、大阪側からだと南アルプスをぐるっと向こう側へ回り込まなければならないから少し遠くなる、もちろん四日の行程であれば土日を挟んでも二日は有休を取らなければならない。
阿弥陀ヶ森 | 明王から大普賢への鞍部 |
大休止後、結界門のある阿弥陀ヶ森分岐を左に取り脇宿を過ぎ明王ヶ岳へ登る。
明王から大普賢は指呼の間である。
なんでもない登りだったが今まで以上に疲労感があった。
ひょっとすると体力が落ちているのかも知れない。
大普賢山頂で集合写真を撮ってもらい、和佐又へ下山。
階段、ハシゴ、岩屋ありと変化に富むコースである。
大普賢山頂 |
もうあとわずかで和佐又へ下りるベンチで大休止。
約8時間の行程だった。
HAMAさんとピッケル君が隣のベンチで「愛とロマン」がどうとか、と。
「なになに?」
北海道のどこかのコースがちょうど8時間かかるらしく「愛とロマンの8時間」と名付けられているとのこと。8時間一緒に歩くと愛が芽生えるらしい。
そうか・・・、そうだったのか・・・。
ピッケル君:大普賢岳
HAMAさん:大峰 伯母谷覗きから大普賢へ