狼平から八剣へ直登 (Aug.27, 2005)


05:30
 熊渡の林道の入口に、下記の看板があった。
 『登山道通行止−双門コース登山道ガマ滝上流三百米付近の桟橋が崩落のため』
 じつは双門コースを通るつもりで来たのだった。僕の足だから日帰りは難しいかもしれず、いろいろ考えてみたけれど結局テン泊の装備でちょいっと覚悟を決めて出て来たのである。
 林道は伐採と搬送の最中らしく、機材が入り、あちこちに伐採木が山積みされていて、なにやらスカスカしていた。
 音無川に下る直前にも同じ看板があり、道も伐採木で塞がれている。
 気が萎えた。

 予定を変更し、そのまま林道を詰め、尾根に取り付いた。
 予報は晴れマークだったが、天候は曇り。山の上部にはガスが付いている。
 急登で足を滑らせ尻餅をついた。手も汚れてしまった。

07:40
 天川からの尾根に合流。ゆっくりと一本。まだ霧の中だ。天川からはやや長大ながらブナ林の中の道はいつ来ても気持ちがいい。

08:45
 高崎横手から日裏山を経て明星への分岐。

09:00
 狼平。
 誰もいない。
 まず手を洗った。
 弥山への階段に腰掛け、「さあ、どうしよう?」
 ぐるぐるといくつかのルートを考えてはみたが、当初の予定に従うことにした。
 沢に沿い、歩きやすいところを選びながら右に渡り左に渡り、山に入り込み、また沢に下りた。きれいな深い緑の水だ。
 この頃からようやく晴れてきた。

09:40
 沢の出合。
 ひとつは八剣と弥山の鞍部に、もう一本は八剣と明星の谷に源を持つ沢が合流する地点である。この沢の間から立ち上がる尾根を直登すると八剣へ行く。
 踏跡の有無は確信がなかったし、木々が密集していればかなり歩きにくいかもしれない。
 行ってみなければわからないことだ。
 ひょっとしてヘビに咬まれてもいかんと思い、軍手を嵌めた。
 道は、どうやら鹿の踏跡らしきものがあった。尾根の中央部を外さないように心がけ、木の密集しているところは巻いたり、強引に突っ切ったりしたが、わりと歩きやすかった。
 緩斜面に出る。地図の等高線どおりである。しかしまあ、よくも正確な地図が作れたことだと感心してしまう。
 正面の高まりが八剣山頂と思われ、直登すればガリガリとトウヒの中を登らなければならない。右がやや開けていたので右に取ると八剣から明星側へほんの少し下った奥駈に出た。 「そうか、ここへ出るのか」
 山頂まではごくわずかである。

10:35
 八剣山頂。
 すでに八人ほど。
 500mlのレモン水を飲みきる。あとお茶が500mlある。
 テント泊の装備で来たけれど日帰りできそうだ。
 弥山への鞍部から谷へ下り、2Lのポリタン、500mlのペットボトルに水を補給する。

11:30
 弥山小屋で昼食。
 狼平へ下って朝の道を引き返すのが一番早そうだが、弥山山頂の神社裏から修覆山、鉄山を経て大川口に下ることにする。林道(R309)を一時間ほど歩かなければならないけれど。

11:55
 弥山山頂。
 浅い鞍部のトウヒの倒木帯の中をよけたり跨いだりしながら向こうへ渡り、道を探すのに右往左往してしまった。迷いやすいところである。左に派生する尾根に入り込まないよう右を意識しながら修覆山へ。以前歩いたときはやたらテープが多かったが今回は比較的少なく感じられた。やや異なるところを歩いたのだろうか?

12:40
 修覆山。
 迷ヶ岳への分岐を右へ。
 踏跡はあり、テープもあるが、迷いやすいところだ。踏跡が生い茂った草に隠れていたり、尾根筋がクラで阻まれているように見えたり。
 確認のために何度か行ったり来たりした。
 以前は左へ左へとトラバース気味に歩き、迷ヶ岳への巻道を伝ったことがある。

13:35
 鉄山、大普賢、行者還がきれいに見える好展望地。
 先客が二人。白子谷を詰めて来られたと言う。

14:15
 香精山を経て、鉄山。
 バリゴヤの頭、稲村が見える。バリゴヤへの尾根を観察。山頂の下はこちらから見える左右の尾根のいづれにも岩壁が屹立しているようだ。

14:45 
 急斜面を滑らないように気をつけながら平坦地まで。
 ここからもまた急斜面である。
 膝をガクガクさせながら、まだかまだかと思いつつ歩いた。

15:55
 ようやっと大川口に下山。
 熊渡まで一時間あまり歩かなければならない。ちんたら歩き始めると「乗る?」とおじさんに声をかけていただいた。好意に甘えてしまった。
 この夏、東北の山々を十日あまりかけて登って来られたと言う。
 「すごっ」
 双門コースも二十年前に歩かれたそうである。
 
16:15
 熊渡着。
 おかげで助かりました。ありがとうございました。
 
 美吉野の湯に入ると、窓が開いていて微風が心地よい。
 すると、♪カーラースーなぜ鳴くのー、が聞こえてきた。
  
 帰路、白百合が満開だった。