木漏れ日の 町石道に 春近し (Jan.15, 2006)
2003年12月23日以来2度目になるが、町石道を歩いてみたくなった。
重く垂れ込めた雲できのうは一日暗かったが、きょうは雨も上がり、青空がのぞいている。しかもずいぶん温い。ひと月あまり居座った寒気団はようよう抜けたか勢力を弱めたものと思われる。
08:55 九度山駅
慈尊院 百八十町石 | 慈尊院から丹生官省符神社へ |
09:15 慈尊院
丹生官省符神社におまいりをして町石道へ。
九度山と言えば柿の木の里。
寒気緩み 町石道に 熟柿落つ
09:50 展望台
紀ノ川を眺めながら一本。
展望台の近くにて | 展望台より紀ノ川 |
うんと言わぬ そのがんこさが 取り柄なの? 付かず離れず 君の面影
10:45 六本杉峠
丹生都比売神社へ下ろうかとも思ったが、きょうはそのまま町石道に従う。
11:10 二つ鳥居
ここで一本。
二つ鳥居 | 二つ鳥居より丹生都比売神社方面 |
木漏れ日の 町石道に 春近し
12:00 九十町石
ちょうど半分。
司馬遼太郎『空海の風景』の記憶ではあるが、空海は煩悩を内包しつつ山中を彷徨した人のように思う。唐へ渡り、ついに真言密教の真髄となる「理趣経」に逢着する。
妙適清淨句是菩薩位
慾箭清淨句是菩薩位
觸清淨句是菩薩位
愛縛清淨句是菩薩位
一切自在主清淨句是菩薩位
見清淨句是菩薩位
適悦清淨句是菩薩位
愛清淨句是菩薩位
慢清淨句是菩薩位
莊嚴清淨句是菩薩位
意滋澤清淨句是菩薩位
光明清淨句是菩薩位
身樂清淨句是菩薩位
色清淨句是菩薩位
聲清淨句是菩薩位
香清淨句是菩薩位
味清淨句是菩薩位
何以故一切法自性清淨故般若波羅蜜多清淨
下手な講釈はやめておく。だいいち、僕自身がよくわかっていない。
地蔵堂にて | 町石の点描 |
12:45 車道と交差する矢立茶屋。(あと60町くらい)
大門まであと6キロ。昼食。
お遍路姿のおばさんと会った。おばさんと言うよりもう少し年配の方だったが、お一人で達者なことである。
ベンチに座り、お昼を食べていると「お先に」と。
町石道はここからやや登るが、嬉しいことに前回より楽に登れた。
もう一度車道と交差し登ると展望台。(あと40町くらい)
そこで、さきほどのおばさんに追いついた。
着慣れたふうのお遍路姿だったから「よく来るの?」とお聞きすると、四国は一周されたそうである。この町石道は初めてだとか。それにしても健脚だった。
杖をついて、ザックには鈴を付けられていて、近づくにつれてその音が聞こえてきた。
そのおばさん、どうも昔の祖母に感じが似ているのだ。
亡き祖母の 鈴の音涼し 遍路道 極楽浄土へ 我も参らん
14:00 鏡石
大門 |
14:40 大門
予定より早く着いた。最後の坂道を登るとバンと大門が見える。演出が効いている。
大門への途中でも下から鈴の音が聞こえていたから、ベンチに腰掛けてパンを食い、お茶を飲み一本取っているとほどなく上がってこられた。
奥の院まで行こうかどうしようかと思案のふう。
根本大塔を過ぎてまだ4kmほどはあろう。
僕は弁天岳へ登り、女人堂へ下り、極楽橋まで歩くつもりになっている。
お互いに「気を付けて」と挨拶をして別れた。
元気でさばさばしたおばさんだった。
15:15 弁天岳
途中、大峰山系が一望できるポイントがある。
極楽橋 |
年末、天和山から見たときよりもだいぶ解けているようにも見えた。
もっともこちらはさらになく、ごく一部に解けかかったのがあったにすぎないけれど。
15:35 女人堂
16:15 極楽橋
ふう。
20km、いや25kmは歩いたかな。