青空に夏の気配―弥山オオヤマレンゲ2006
 (July 9, 2006)


 目が覚めたのが五時半。
 「あれ? あかんやん。六時に黒滝で待ち合わせやのに・・・」
 半ばパニック状態である。
 「雨具、入ってる。そや、靴靴靴靴」
 ベランダだ。紐は昨晩通しておいた。
 「タオル」
 一本でいいのに二本入れてしまった。
 着替えを袋に。
 「靴下や」
 息子からもらったのを持って行こう。
 お茶、食料は途中のコンビニ。
 「では行くか。帽子は? なくてもいいか、そうゆうわけにもいかんな」
 山道具を詰め込んだ箱を探す。
 「あった。あった」
 「傘がいるな」
 390円のビニール傘をつかむ。
 エンジンをかけたのが5時38分。
 5時44分。石川の橋の上。
 DOPPOさんにTEL。もうすぐ待ち合わせ場所に着くらしい。
 「ごめーん」
 タイシさんにTEL。もう着いていると言う。
 「ごめーん」
 今回の言いだしっぺは僕なのに。
 アラームを四時にセットしたはずなんだけど、一度も鳩の声が聞こえなかった。
 登録のボタンを押してなかったのかもしれない。
 水越トンネルを抜けて御所へ下る途中、のんぶーからTEL。
 「はよこんかい」
 「えっ、のんぶー、きょう行くんか?」
 明日と聞いていたように思うけど。
 なんだかよくわからない。どうやら差し入れを持ってきてくれたようだ。
 という顛末で、大幅に遅刻だ。

 熊渡でDOPPOさんに会う。タイシさんがいない。
 お二人は今回が初対面である。
 「あれ〜。ほな迎えに行ってきます」
 天川へ戻り黒滝で待ってくれているタイシさんにTEL。
 「川合の交差点で待ってます〜」
 役場に一台をデポ。
 ふたたび熊渡へ。
 やっと三人が合流。DOPPOさんはすでに熊渡の下山地点にデポしてくれている。

 
07:50 トンネル西口の登山口。
 天候は曇り。山の上にはガスが付いている。
 奥駈出合まで尾根道ではなく沢沿いに登ることにする。
 比較的緩斜面であること、雨を含み尾根道は滑りやすいこと、などの理由による。

 ザックは軽いが体は重い。湿度120%の中、即汗が噴きだす。おまけにウン○がしたくなった。
 「紙、持ってきたかなぁ?」
 奥駈出合まで登って、「DOPPOさん、紙あります?」
 体も軽くなり、やっとこさ目も覚めてきた。
 のんぶーから差し入れのアイスクリーム入りの大福餅。
 「うまいやん」

 道もこれからは楽になる。
 途中雨になった。本降りだ。傘を差す。
 聖宝の宿で一本。
 弥山小屋までの道にはここ最近、随所に階段が付けられた。とくに急ぐつもりはないのだがどこで休みを入れていいのかよくわからない。
 尾根に出たところで一本入れようかとも思ったが、時間はさほど経っていない。ここまで来れば小屋も近いってことでそのまま歩くことにした。

10:20 弥山小屋。
 ふう。
 雨も上がっている。
 タイシさんは弥山山頂の天河弁財天奥宮へ。
 ベンチに腰掛けると、のんぶーからの差し入れ第二弾、パイナップルだ。
 甘くて冷たくて、体がホッとする。
 
 きょうの予定は、これから八剣、明星尾根を日裏山、高崎横手、頂仙岳を巻いてナメリ坂から熊渡へ下山。狼平を通らないから高崎横手へ登り返さなくてよい。八剣まで登ってしまえばあとはずっと下りだ。

 タイシさんも戻って、パイナップルそのほかで一本入れた後、八剣への鞍部へ下る。
 登り返すあたりからオオヤマレンゲの自生地だ。鹿よけのネットが新しく張替えられていた。
 先週登った仲間からの報告ではまだ蕾だったようだが、今週は昨年ほどではないにせよ 「咲いてる、咲いてる」
 不調なカメラで数枚撮った。花びらに鼻も近づけた。
 「そうそう、この匂い」
 記録を振り返ると六年連続のオオヤマレンゲ詣でである。

11:20 八剣山頂。
 雨上がりの遠景を見ていると夏ももうそこまで来ているような気がする。

 奥駈道を明星側へ。
 「南アルプスによう似とるわ」とD氏。
 易老渡から登って、光岳への稜線にほんとによく似ている。

 明星尾根を日裏山へ。
 倒木帯の端っこに近年道が付けられた。
 日裏山の尾根に乗ったところで一本。ここからの弥山・八剣・明星の展望は抜群だ。
 ちょうど12時。ついでにご飯にする。
 徐々に青空が広がり、真っ白な雲があった。夏の気配だ。

 日裏山から高崎横手へ。
 頂仙岳を巻き、ナメリ坂から熊渡へ下山。
 14:20だった。

 天川温泉の駐車場にはゲートが付けられていて、一時間までは無料。



DOPPOさん:恒例のレンゲ詣