牧童遥かに指さす杏花の村 (Mar.3, 2001)




























【清明】四月四、五日頃。二十四節気のひとつ。
【行人】旅人
【借問】(しゃもん)ちょっとお尋ねしたい。
【杏】あんず。早春、白、淡紅色のウメに似た花が咲く。
 漢詩に興味を持ったのはせいぜい六、七年前のことである。ひょんなきっかけで『漢詩紀行』を見始めた。朗読は江守徹と中村吉右衛門。漫然と見ていたのだが、たまにはこれはいいと思う詩にも出会う。
 その後録画したり、漢詩集を買ったりして少しずつ覚えていった。
 この「清明」もそのうちのひとつ。
 僕はいまでも時々、「牧童 遥かに指差す杏花の村」と反芻する。
 雨に煙る中、牧童が指差した遥か彼方に、淡い杏の花の咲く村が見えるようである。

 専門家の研究では、この詩は杜牧ではなさそうである。誰であってもいい。無名氏であってもいい。名詩だと思う。