寒雨 江に連なる (Mar.3, 2001)
【平明】夜明け
【冰心】氷心。氷のように清くすんだ心
【玉壺】玉でつくった美しい壺
冷たい雨が長江の水面を打ちながら走ってくる。ここ呉でも夜になるとついに降り出した。
夜明け。雨上がりのひんやりとした明るさの中、辛漸を見送ると、楚山がぽつんとひとつ。
洛陽の親友たちが、もし私のことを聞いてくれたら、氷のように清く澄んだ心境で暮らしているよ、と。
洛陽から遥かに遠い呉へと左遷された王昌齢だが、友人は多かったにちがいない。時におもねることの出来ない性格だったと思う。
寒雨、平明、孤、冰心、これらの言葉がこの詩に凛とした清冽さを感じさせる。
孤独とは決して感傷ではないのだ。