白柳栄一作 木版画「張子の虎」(June,19 2011)
 以前の仕事でお付き合いいただいた白柳栄一さんから、木版画を頂戴した。寅年にちなんで郷土玩具の張子の虎をすでに80数点彫られたそうである。
 素材のせいか、以前いただいた円空仏(名古屋鉈薬師堂、天川栃尾観音堂)に比べると軽みの感じられる仕上がりのように思われる。あるいは、飄々とされてきたのかな。
 実寸サイズはすべてハガキサイズ。
 (前回は写真に撮ってアップしたが、今回はスキャナで取り込んでみた。色の具合、シャープさ加減が実物より劣ってしまうのが申しわけないけれど。)
 姫路に「日本玩具博物館」があるそうで、そこに展示されていたものをご自身で写生し木版画に作成された。「沖縄」「玩具博物館」「栄一」の落款、ともに実際はきれいな朱色である。

 沖縄でも張子の虎が作られていたんだ。知らんかった。
 大宰府の「九州国立博物館」で韓国、インドネシア、タイなどアジア各国の郷土玩具展に日本からはこの宇土の虎が展示されていたそうだ。

 私も熊本出身だが、同県ながら県南にはなじみがないが、宇土へは二度ほど古墳やピンク石(地元では馬門石)の採石場を見に行った。
 古代史的には、間違いなく一国があったと思う。
 太宰府天満宮の参道「みどりや食堂」入口のメニューの並ぶ片隅に飾られていたそうだ。
 政庁は大宰府、天満宮は太宰府と表記の違いがあるらしい。
 太宰府天満宮参道のお店「コガ梅香軒」で写生された。
 実物では、足に淡い茶色で縁取りがあるが、スキャナではその色合いが飛んでしまった。
 これも太宰府天満宮参道の「松尾商店」で写生。
 白柳さんは「素朴で子猫のような」とお書きになっている。

 三つの太宰府天満宮の張子の虎は、寅年にちなんで玩具問屋から仕入れておられるそうだ。
 糸島郡二丈町の中尾ひで子さんの作品。筑紫野市歴史博物館で閲覧された『福岡県の文化百選 民芸・民具編』から写生された。
 目が四角なのは博多の二○加せんべいですね。

 糸島郡二丈町といえば、伊都国。
 卑弥呼のお墓がある。
 倉敷の「日本郷土玩具(博物)館にて。倉敷在住真鍋芳生さんが度々訪韓されて現地の虎を観察し作られたとか。

 加藤清正の虎退治ってホントだったのかな?
 姫路市「日本玩具博物館」にて。製作地、作者不明。白柳さんは、「太眉の虎」と命名。
 館内は撮影禁止なので写生してきた、と。

 私なんかこっそり撮ってしまいますけどね。
 JR姫路駅構内の姫路市観光案内所にて。

 これって雌虎ですよね?
 和歌山県加太大波止で、白柳さんご本人が釣られたんだそうです。
 大阪・四天王寺境内の露天で求められた。
 長さ10cm、高さ3cm。

 存外小さいですが、なんだか存在感があります。
 JR天王寺駅から四天王寺へ向かう参道の露天にて求められた。

 緑の眉毛がアクセントかな。
 姫路「日本玩具博物館」。金沢で作られたもの。


 虎の皮の渦巻き模様。実際にはないんだと思いますが、渦巻き紋は古代から中国では魔よけの意味をこめて壺などに描かれています。
 巴型銅器、社紋にもよく使われる三つ巴紋などもその系譜でせう。
 姫路「日本玩具博物館」。富山県で作成。

 細い縞模様がリアルっぽいけど、実際は胴体に縦方向ではなく、横に丸く入ってるんでしょう。足も同じく縦ではなく横に丸く。
 姫路「日本玩具博物館」。長野県、松本市製。

 実際は、両目が金色です。残念ながらスキャンでは取り込めなかった。
 姫路「日本玩具博物館」。静岡県藤枝市製。

 静岡では、この張子の虎と浜松の大凧が郷土玩具としては有名らしい。
 姫路「日本玩具博物館」。
東京製。白柳さんの文にもありますが、ホント、親父ふうです。
 以上、今回送っていただいたものをアップしてみました。こうして一覧してみると、玩具らしい、ほんわかとした軽みが感じられます。

 以前いただいた、円空仏は額に入れて暗めのところにかけていますが、けっこう迫力があります。
 白柳さんの対象を見るしっかりとした視線が感じられます。