吉野花見山行で弁当を作るの巻 (Apr. 15, 2001)
四月十四日夕方、やっと気鬱な用事が済んだ。さあ、明日は「明神21」のメンバーと吉野へ花見山行だ。花見だから酒を飲む。日本酒がいい。すでに、冷蔵庫に冷やしてある。「上善如水」。先日、焼酎「大魔王」を買ったとき、この花見用に仕入れておいた。弁当も作ろう。花見なのだから。酒の肴になるのがいい。何がいいだろう。そうだ、たこ酢がいい。それに…、そうだ、アスパラのベーコン巻き、卵焼きは欠かせない。うーん、あと何がいいだろうか?
ここで、我が家の一角獣と若干の諍いがあった。
「なんでそんなん作んの? いつもコンビニで買ってるやん」
「あのな、今回のコンセプトは花見やで。花見らしく弁当を作って行きたいやん」
我が家の一角獣がドライなのか、女性一般がドライなのか、そこは敢えて突っ込まないでおくが、「わからんかな〜」。
仕方がない。「わかりました。弁当は私が作ります」
僕だって、多少は作れる。あんたがおらんかったかて、あとアイロンがうまくあてられるようになったら一人で暮らせるんや。住まいだってある。テントだけれど。
さて、あと何を作ろうか? スーパーで材料を眺めながら考えるとするか。
吉野川では円さんやTOHRUさんのギターでライヴが盛り上がっていることだろう。僕はその頃、スーパーの買物を済ませて、とりあえずたこをゆがく。アスパラを塩少々でゆがく。我が家では塩は粗塩を使っている。食卓塩より、おいしいと思うから。その、粗塩をお玉で火にかける。さらさらにしておいてラップをかけて、あとは明朝。
息子がテレビやらゲームやらで夜を撤している。二時半に目が醒めた僕もさすがに四時ごろになると眠くなってきた。
「五時に起こして」と頼んで目を閉じる。
五時になった。
炊飯器から御飯をカレー皿に移して冷ます。
きゅうりを蛇腹に切る。酢、砂糖、土生姜をスライス。これに、昨晩のたこを適当に切ったのと一緒に入れて冷蔵庫へ。
昨晩湯がいたアスパラにベーコンを巻いていためる。
小エビにゆるいコロモをかけて揚げる。揚げたところへ塩を振り掛ける。
レタスを二枚ほど、おかずのお皿代わりに。
トマトをスライス。僕はトマトが大好き。タッパーに入れる。
生食用のかまぼこを厚めに切る。
ようやっと一角獣がのそのそと起きてくる。おかずはあらかた出来たようなものだがいま一つ野菜類が足りなさそう。ほうれん草のおひたしを出してくれる。
一角獣だって、なんか手を出したいのだろう。折詰めに適当に盛ったあと、「ほなら、あと包んでくれる? 着替えもせなあかんし、顔も洗わんと。…箸忘れたらあかんで」
久しぶりの台所だったけれど、思ったより早くできた。
日曜はバスの始発が七時十二分。電車との連絡を考えると微妙なところ。仕方がない、駅までチャリンコを漕ぐ。上市に着くとビックリするほどの人だかり。いつものメンバーが顔をそろえる。TOHRUさんはRINさんだけじゃなく、若い娘さんも連れていた。
西河でバスを降り、蜻蛉の滝から青根ヶ峰、西行庵。山道だけれど幾筋も道が通っている。一人だと、地図をしっかり見ないと迷いそうだ。ピークを踏んだり、巻いたりと、とにかく縦横に走っている。西行庵で昼食。すこし多めに作ったかもしれない弁当もほとんど一人で食ってしまった。野外で食う弁当は格別だ。
高城山で、待望の、倍金教授の「電線音頭」。
おもむろに、腰を落とし、
「チュチュンがチュン、チュチュンがチュン、チュチュンがチュン」
「♪電線に、すずめが三羽とまってた」
「それを猟師がテッポで撃ってさ、煮てさ、焼いてさ、ヨイヨイヨイヨイ」
教授の熱演は、高城山の満開の桜にも負けなかった。