弥山から楊子ヶ宿―弥山、釈迦ヶ岳間の縦走完成 (Apr.28/29, 2001)
2日ほど前、喉がめちゃめちゃ痛くなった。鼻水が出るようになった。クシャミは出る。さいわい熱っぽくはない。
明日(土曜)は晴れるが日曜は早朝から雨になりそう。しかもGWの前半はあまり芳しくなさそう。今のうちに行っておくか。
と、土曜の早朝出発し、行者還トンネル西口へ。
今回は弥山から楊子ヶ宿まで。ここで幕営し、引き返す。これをやれば、昨年12月釈迦ヶ岳から楊子ヶ宿までは行っているので、弥山−釈迦ヶ岳間は通ったことになる。しかも、南からと北からと双方向をやったことになる。
なは、なはは。
日曜の雨は仕方ない。
8時にトンネル西口。もはや満車状態。靴下を履き、靴を履き替える。沢で2リットルのポリタンに水を汲む。道中は500mlのお茶。総重量は16キロ足らずと言ったところか。
西口からは、尾根へ出るまでがつらい。いきなりの急登。尾根へ出て一服。それから聖宝ヶ宿までは気持ちのいい尾根歩き。そこからまた徐々に登る。弥山山頂直下では、まだまだ雪が残っていた。
11時15分。弥山山頂。
11時45分。八剣山頂。人でいっぱいだ。明星ヶ岳側に少し下りたところで昼食。
さて、これからが初めての道だ。雪がまだ残っていてどっちに行っていいかわからない。先を見やると、雪のないところに道が見える。そっちを目指してザクザクと歩く。
すると向こうから一人。若いお兄さんだ。
「本宮から歩いてるんですけど、六日目ですわ。六日目で初めて人に会いました」
「ふうん、やるね」
六日目に初めて会った顔がこんなんですいません。
「昨日、深仙宿に泊まったんですけど、水がもう染み出てくるくらいだから、溜め水を煮沸したんですけど、もう砂でじゃりじゃりですわ」
「熊に会った?」
「ううん、鹿はいっぱい見ましたけどね。でも、変な鳴き声を聞きましたよ。人が唸ってるみたいな」
「きょうは楊子ヶ宿までの予定なんやけど、道はどぉ?」
「一箇所崩れてるところがありますわ」
などなど情報をいただく。明星ヶ岳のところに十津川側への分岐があるはずで、そこの標識を確認しておいて、とDOPPOさんから頼まれていた。
「あった、あった。これだな」
湯の又へ8キロとある。でも廃道みたいだぞ。写真に撮る。
「DOPPOさんは先週ここへ出る道を開拓しようとしてたのか。なるほど。DOPPOルート開拓後、連れて行ってもらうことにしよう」
これは僕の範疇ではない。あと十年してもこんな気にはならないだろう。人それぞれ山への向かい方も違う。DOPPOさんはすごいのだ。
しばらく歩くとまたあった。「神仙平 林道へ2キロ」とある。地図を見る。なるほど、この林道へ出るのか。DOPPOさん、この道は車では入れなさそうだと先週言ってたけれど。
これも写真に撮る。
この道は、木は倒れているし、ごろごろした石の上を歩くし、木の根も剥き出しになっていてすごく歩きにくい。
大崩れのところまで来る。ぐっと高巻く。落ちたら谷底まで一直線だ。
舟のタワまで来ると「あらまあ」。地図にはキャンプ適地とある。天気はいいし、こんなところでのんびりできたら最高だ。倒木に腰掛け一服する。ここでお茶を飲みきる。あとは2リットルの水だけだ。
ここから巻き道になる。正面の山は右へ七面山へと続く。山の左を巻いていると向こうに見覚えのある低い熊笹で覆われたすっきりした小高い山が見える。
「ああ、あれは。そうすると、楊子ヶ宿ももうすぐだ。へっへっへ。ついにやったぞ」
巻き終えて尾根に出ると、
「そうそう、ここここ」
昨年の12月、幕営したところにたどりついた。14時45分だった。ザックをおろし、カメラだけ持ってうろうろする。なんせ、天気はいい。時間もある。七面山の切り立った岩壁が見える。はるかに、いくつも重なった紀州の山並みが臨まれる。しかも、一人。別天地だ。風もない。本当に明日は雨になるんだろうか。近畿地方の真上に高気圧があったのに。
設営を済ませて、明るいうちから飲みだす。それからお湯を沸かし、晩御飯。寝袋にカバーをかけ、ヘッドランプが要らないうちからもう寝てしまった。
明け方、4時40分にセットしたアラームで一度目が醒めた。次に目が醒めたのが5時50分。テントを叩く雨の音。
「やっぱり、雨になったか」
外へ出るとまだ遠くまで見通せる。
お湯を沸かし紅茶とパン。雨具を着け、7時に出発。この頃になると遠くはすでにガスにさえぎられていた。天候は徐々に下っている。歩き始めると、さらにガスに包まれた。
舟のタワで二人組。弥山の小屋に泊まり、きょうは前鬼まで下りるという。
このあと、単独、数人のパーティを含め15人ほどとすれ違った。女性の単独行も二人いた。
9時55分、八剣山頂。雨の中だけれど人でいっぱい。休まず、弥山まで。ここで一服。
弥山を下りかけた頃から雨はさらにひどくなった。雨具を着けてるとは言え、汗はかく。びしょぬれ状態である。休んでいると体が冷えてくる。トンネル西口と行者還の分岐で12時くらいだったからラーメンを炊こうと思っていたが、飴玉を二つ頬張り、休むだけにして下りることにする。
きのう、水を汲んだ沢でもう一度、ポリタンに汲む。
12時45分。駐車場。ライトバンの後ろを開け、腰掛けてラーメンを作る。雨は依然としてさやさやと降っている。もう一度お湯を沸かし紅茶を飲む。雨具を脱ぎ、トレーナーを羽織る。靴を履き替え天川へ。山桜がしっとりととても淡かった。
そう言えば、釈迦ヶ岳から楊子ヶ宿の帰りも、雨に遭ったのだった。
天川温泉で風呂に入って一息つき、吉野川を渡り、下市から、五条と御所への分岐あたりで天皇賞の実況だった。