今年もまたオオヤマレンゲを−熊渡から狼平 (Jul.6, 2003)
D、T、郭の三人で、天川川合に着いたのが5時45分。
「ほかに誰か来るかもしれない」と小休止。
センターのベンチに座ってるうちに、小雨がそぼ降り始めた。
向かいの山に鉄塔がふたつ見える。ひとつはずっと見えていたがもうひとつは雲が流れるたびに見えたり隠れたり。
「では、行きましょう」と6時を回ってトンネル西口への国道309号を走り、熊渡で右折して、弥山川沿いの林道に入る。
かなりの悪路で、車も車内の三人もへらへら笑うしかないほどの揺られ方であった。
いいかげんで「おえっ」となりそうな頃やっと林道終点に着いた。
06:35
雨具を着けて山道に取り付く。
取り付きこそさほど急登とも思わなかったが、道は徐々に滑りやすくなってきた。ずるずる滑るのは、ちびてきた靴底のせいばかりではなさそうだ。いつになくきつく感じられた。軽いザックなのにやたら肩に食い込む。雨具の中はサウナ状態。顔にもやたら汗が噴きだしている。ひょっとすると青白い顔をしていたのかもしれない。
杉の植林帯を抜けてD氏が待っていた休憩ポイントは、ブナの大木が霧にかすんでまさに幽玄の趣だった。
何度となく上を見て、空と木々の境目に目をやる。
巻いたり、尾根に乗ったり、巻いたりをくり返しようやっとしっかりした道に出た。
「そうか、これが天川からの道か」
どうやら、頂仙岳とp1518の間のどちらかといえばp1518寄りに出たものと思われる。
あとは見慣れた道を狼平へ。
ぐっと登り平坦な道に出てそれから頂仙岳を巻くと、また平坦な道にでる。ここが、天川から狼平までの最高点だ。
沢の音が聞こえ始め徐々に下りかけると、ぽつぽつとオオヤマレンゲの白い花が見え始めた。開いてるのもあれば、まだつぼみもある。
もうすぐ狼平の手前に小さな沢がある。ここにも咲いていた。
木の枝を引き寄せ花の香りを聞く。古風な砂糖菓子、しかも瑞々しい。
「そうそう。この匂い。懐かしい。一年ぶりだ」
匂いは記憶で呼び起こすことはできないらしい。
09:10
橋を渡ると狼平。
D氏、T氏はいつのまにかいなくなった。きっとやや上流まで行っていることだろう。
あっちへわたり、こっちへわたりするうちにズボッと沢にはまってしまった。
二人のいるあたりにはあちこちに白い花が。
やはり日当たりのいいところが早く咲くのかもしれない。
小屋へ戻ると、百さんやこまさんの8人くらいのパーティ。
「やあやあ」
そうめんを湯がいておられて、「どうぞどうぞ」とお相伴にあずかる。だしに、しょうがが効いている。
まだ早いけれど、「じゃあ」と僕たちも昼ごはん。
コンビニの弁当だけれど。
11:05
同じ道を引き返し、13:05。登山口に戻った。
熊渡まで、またもやわさわさと揺られたことである。
熊渡から狼平、そうか、大峰には熊も狼もいたんだ。
DOPPOさん:雨に咲くオオヤマレンゲ