ワンステ尾から奥駈、小笹宿、阿弥陀ヶ森、柏木道 (Aug.16, 2003)
五時前に目が覚めた。天気は曇り。行ってくるか。
朝ごはんも食べずに5時半、自宅を出る。
上多古から右に入り林道を詰める。上谷への分岐を過ぎさらに詰めると川そばに広い駐車場があった。
オートキャンプ用のテントがひとつ。こんなところでゆっくりするのもいいだろうな。
07:15
右に勝負塚山を見ながらさらに林道を詰める。
07:50
林道終点。すでに車が3台。おおまかな地図があったので一応見ておく。いくつか分岐があるようだ。左へ、左へと行けばいいのか。
足元が透けて見える網の目のような鉄の橋を渡る。充分しっかりしているのだろうが、高所恐怖症の僕にはなんだか心もとなかった。
生い茂った草を分けながら山道に入る。昨日までの比較的よく降った雨のせいか、粘土質の道でいきなりズリッと滑る。先行者の踏跡もあった。
ザックは軽いが、靴は重登山靴。まる2年履いたゴアの靴は、靴底を張り替えてもらうために修理に出したところなのである。
「ひと月ほどかかります。お値段は9800円です」
「えっ? 以前頼んだときは7000円くらいやったで。値上がりしたの? ひと月も?」
「革靴だったら靴底だけの張替えで済みますのでいまも7000円です。この靴は靴底だけではなく、ソールごと替えますので9800円かかります。お盆休みを挟みますし、混みあっていますので」
「高いなあ・・・。靴紐もつけて」
「え? それは買っていただかないと」
「だから、靴ができたとき一緒につけといて」
道自体はテープがしっかりと巻いてあったので迷いはしなかったが、「うへっ」と思うような危なっかしいところが随所にあった。岩場をへつるようなところもあり、右下は深い谷である。ルートそのものはテープを見落とさなければなんと言うこともないのだが、「あれ? どっち?」とあたりを見回すことも何度かあった。1/50000のエアリアマップしか持っていかなかったけれど、1/25000の地図を持っていっても果たしてどうだったろうか? 仮にルートを見失ったとしても上へ登っていけば奥駈に出合うはずであるが、なんせ滝の多いところだからどこでクラに先を阻まれないともかぎらない。
道自体はかなり複雑だったように思う。テープが付いてないとなかなか行けないところのような気がした。洞辻、今宿方面への分岐あたりで先行者の踏跡らしきものも絶えてしまった。
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阿古滝
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阿古滝落ち口のお地蔵さん |
10:15
ゆっくりとではあったが、3時間休まずに歩いて阿古滝の上に出た。ここで一本。
ちょうど滝の落ち口になっている。おそるおそる木につかまって滝を覗く。
落ち口にはお地蔵さんが祀られてあり、未開封の「のものも」100mlがお供えされていた。
ずっと曇りでガスも付いていたがここで木の葉から滴るのかぼとぼとと降り始めた。まだ雨具を着けるほどではなかったけれど。
滝へ落ちる沢沿いにテープが巻かれてあったのでそれに従うと15分ほどでそのテープが途絶えてしまった。
「あれ? どっち?」
上へガリガリと登るような気もするし、まっすぐ巻いているような感じもする。沢へ下りて対岸を見てもテープはない。
「おかしい」
ここで初めて地図を見る。
エアリアマップではちょうどここに?マークが付いている。
破線は滝へ落ちる沢のやや上流を跨いでいる。
「どっかで渡らんといかんのや。上まで行きすぎてるんやろか。滝まで引き返そう」
時間をロスしてしまったが、仕方がない。引き返して滝へ戻る50mほど手前だったか対岸へ渡るテープがあった。
「これやこれや」
あとはほぼ尾根沿いである。これがまたなかなかの急登だった。
11:45
石楠花の森を抜けブナ林になったあたりでさすがに腹が減った。
行く前は「出来れば大普賢山頂で」、山道に入ってからは「小笹の宿で」昼ごはんにしようと思っていたけれど、疲れてもいる。大休止のついでに御飯も食べておこう。
ほら貝の音が聞こえる。山上ヶ岳も近いのであろう。いずれにしても、奥駈まではもうそれほど遠くはないはずだ。
御飯を食べ、煙草を吸い、お茶をごくごく飲む。お茶は500mlを2本。それに280mlのカフェレーチェ。
水は小笹の宿で補充できるから遠慮なく飲む。
煙草をもう一本。
ここ数年、山の仲間にも恵まれ山行回数もぐんと増えたけれども、僕自身本当に山好きなのかどうか? もう、パチンコや競馬の世界に戻る気はない。古代史からもすっかり遠ざかってしまった。さてさて、どうなんだろう?
12:25
ほぼ急登を登り詰めて明るくなった緩斜面をだらだらと進むと左右にかすかに記憶のある道が通っていた。やっと奥駈と出会ったのだ。この頃ようやく晴れ間も見えてきた。
「ふう、5時間もかかったぞ」
12:40
小笹宿。
空いたポリタンに水を汲む。
靴紐が緩んでいたので石に腰掛けたら、左腿がつってしまった。
「うううっ」
こうゆうときじたばたしてはいけない。つっているところに負荷をかけないように体を丸めてじっとしているにかぎる。
治まったところで靴を脱ぐと小石が入っていた。
水に濡れ苔むして滑りやすい石段を気をつけながら登る。
13:30
阿弥陀ヶ森分岐。
大普賢まで行けばかなり遅い下山になりそうだ。
どうしよう?
今回の第一の目的は「ワンステ尾」を歩く、第二が「柏木道」である。大普賢はパスしよう。
ふたたびゆっくりと腰を落ち着けると、またもや足がつってしまった。
「あちゃー、足も行きたくない」とゆうてるわ。
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伯母谷覗 |
ワンステ尾に比べると柏木道はスーパーハイウェイだった。
緩やかだし道もしっかりしている。
だいいち明るい。そう思って気楽に歩いているとまたもやガスってしまった。伯母谷覗まで時間的にはわずかだったように思うが切り立った崖からは何も見えなかった。
沢の水が山道に流れて岩を洗い出しているあたりがやや気を使ったけれど、それを過ぎるとまたもやスーパーハイウェイ。
周りをきょろきょろすることもなく、足取りは重かったけれども、あれやこれやとストーリーを考えながら長い道を歩いた。
気がつくときれいな杉林だった。手入れが行き届いている。そしてここにも林業用のモノレールが走っていた。
下の方で声が聞こえる。だんだん大きくなって人も見えた。
伯母谷覗で幕営するのだと言う。
上谷分岐を左へ。下り切ってアスファルトの道を左へ。このアスファルトの道もけっこう長かった。
やっと朝通った道に出た。山側へ10分ほどで駐車場。
17:15。ちょうど10時間。大普賢へ行ってたらやっぱり日が暮れていたことだろう。
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