明神平デビュー(Mar.25,1995)

 僕と息子は調子に乗ってまたもや出かけてしまった。明神平から国見山へ。
 どこに車を停めていいのかわからないまま奥へ奥へと林道を入っていく。適当な広さのところに停める。

 沢伝いに水の音を聞きながら登って行く。雪解け水なのだろうか、その水量の豊富さに驚く。何度か沢を渡り、山小屋を過ぎ、大きな滝を過ぎ、つづら折りを過ぎるとそこが明神平。
 明神平は山上にあって、その名の如くぽっかりとした平原。広々としてなかなか気持ちが良い。雪はなかった。
   そこから水無山へ上がると、途端に雪がある。木の根の周りは雪が溶けて丸く穴が開いている。キィキィと何か動物の鳴き声であろうか。僕はずっとその音はこの穴の中から聞こえているものだと思っていた。木と木がこすれあっている音だと気がついたのは後になってからであった。

 国見山から再び明神平へ戻ると猛吹雪。屋根だけのあずまやにはお兄さんがひとりコンロを焚いて昼御飯である。「なるほど、ああゆうものなのか」と横目で見ながら僕たちは弁当。その弁当に雪がかかってくる。寒くてたまらない。息子は例によって熱いお茶の中に指を突っ込んでいる。

 山慣れた感じの単独者のお兄さん、「これは危ない。昼御飯を食べたら下ります」と。
 薊へ回って下りようと思っていたが、僕たちも来た道をそのまま下りることにした。

 当時のメモを見ると、最後に「ここは、Goodだ」と書いている。

 じじつこの後、日帰りもあれば、テント持参で毎年少なくとも一度は来ることになり、2000年の秋には円さんのホームページで知り合った仲間23人の大オフを、新築の「あしび山荘」で行なうことになる。