伊吹へいかへん? (Aug.17/18, 2002)

 8月14,15,16日と盆休みを無為に過ごしていると、17日の朝、白鳥組のHAMAさんから、「夕方から伊吹へいかへん?」とお誘いをいただいた。
 「いこいこ〜」とすぐ返事をした。

 コンビニで山へ持って行く食料を調達後、店の名前は忘れたけれど、伊吹山麓で980円の定食を食べた。これがまたけっこうなボリュームなのである。腹一杯になってしまった。 僕は「から揚げ膳」を頼んだけれど、から揚げそのものが「えっ?」と思うほどたくさんあった上に、エビフライが三尾、それにもう一品揚げ物が付いていた。どっきりするほどの量だったけれど、おかげでシャリバテにもならなかった。

 夜8時15分、三宮神社の登山口から登り始める。いきなりの急登だし、樹林帯の中は蒸していて一合目ではTシャツがびったりと体に貼り付いていた。
 一本入れたあと、草付きのまたもや急登である。山頂までおそらく4時間程度かかるので、ヘッドランプの電池が減るのがもったいないから、わかりやすいところはランプを消して歩く。消して歩くと、白く見えるところを選びがちになってしまう。でもこの白いところは石なのだ。なにやらガラガラして歩きにくい。黒く見えるところが土なんだけど、さすがにそこはランプを点けていないと足を下ろせない。
 途中、いつもの道にロープが張ってあり、付け替えられていた。あんまり急な道で崩壊も進んでいたのかもしれない。
 三合目手前の平坦な踊り場みたいなところで二本目。
 半月ほどの月が雲に隠れたり現われたりするほどの明るさの中、山は、虫の声のみが聞こえ、じつに静かだった。時折吹く風がありがたい。まだこのあたりでは蚊がいてそれには閉口したけれど。
 三合目のキャンプ場はおおにぎわいだった。おそらく彼らの幾人(いや、おおぜい)かが五合目まで来ていて、ここから更に登る人、下る人の話し合いが延々と続いている。
 僕たちはベンチに腰掛け、聞くともなく、一望できる街並みの明かりがきれいやねえなんて話をしている。
 七合目でさらに一本入れ、八合目で休んでいる人たちを抜き、九合目手前で最後の小休止。さっきの彼らが上がってくる。なんでも、13歳の女の子が「あたしはもう年だ」と言っているのだそうである。僕は「君は30になったら死ぬで」と言ってやった。そしたら、「死にたくない」そうである。
 九合目を過ぎて、あとは山頂までの平坦な道で彼らを追い抜き、11時55分、山頂着。
 
 さっそくテントを張る。誤解のないように申し添えるが、僕のと白鳥組のと二つである。白鳥組のテントはまるで13歳の乙女のようにぴちぴちしている。水滴など弾き飛ばしそうである。僕のはと言えば、まるで年配のおばさん。肌もくたびれていれば、あちこち故障もある。でも、これはこれで味わいもある。
 僕のテントで酒盛り。まずはビールで乾杯し、HAMAさんの北海道みやげの「昆布焼酎」をいただく。
 いいかげん飲むと時刻は1時半だとか。「もう寝なあかんわ」とHAMAさん、モリザネさんが外へ出ると、「わあ、星がきれい〜」「なになに?」と半身だけテントの外へ出る。
 満天の、とはいかなかったけれども、ほんとに星がきれいだった。カシオペアはすぐにわかった。
 「ああ、あれが小熊座で、あれが白鳥座」
 「ほんま?」
 「そうや」
 「ほんまに?」
 「さあ…」
 「なんやあ〜」

 僕は出入り口を閉じもせず、そのまま眠ってしまったようだ。なんでも、いびきがすごかったらしく、伊吹山頂は早朝からなぜかいままでの経験にもないほど人が多く、白鳥組は、僕のいびきが道を歩く人たちにも充分届いているはずで、なんだかそれが気になっていたとのこと。
 まず、コーヒーを入れてもらって、コップを持って外へ出る。雲の上に、乗鞍、御岳の山頂部が見える。そして白山が見える。

 撤収後、お花畑の花々の名前を教えてもらいながら山を下る。僕は恥ずかしいほど花の名前を知らない。今までの山行の写真集には、名前を知らないから「花その1」「花その2」としか書きようがないのだ。七つか八つほど教えてもらった。「なでしこ」はすぐ覚えた。「ハクサンフウロ」も教えてもらった。それに「トラノオ」。「虎の尾」。そうか、虎のしっぽみたいなんだ。帰宅後メールで教えて頂いたが先日の麦草峠で見た紫のは、ルリトラノオと言う。

 帰路は渋滞もなく快適に飛ばした。おかげでインターの出口も飛ばしてしまい、吹田で近畿道に入らないといけないのに、豊中まで行ってしまった。
 HAMAさん、モリザネさん、ありがとうございました。ほんとに楽しかったです。




  HAMAさん:涼を求めて伊吹山(1377m)に夜間登山