白鬚岳で木枯し1号に遭うの巻 (Oct.27, 2002)

 大峰、台高で、行ってない山はまだまだたくさんある。白鬚岳もそのひとつ。円さんが「じゃ、案内しましょう。中奥から登りましょう」と。急遽メンバーを募って8人が集まった。円さん、モリ姉さん、安芸さん、のんぶーさん、くみ少年、Echoさん、春風亭すっぽん(仮名)、郭。順不同である。決して年齢順ではない。だいいち、不詳なのである。往復の車の中で年齢の話になるとなぜか話題が逸れてしまふ。まあ、みなさんそのやうな年齢であると言ふことだ。

 駐車場から35分ほど林道を詰めると終点。左の小さな沢をまたいで山道に取りつく。ジグザグに登り白鬚岳の支稜に出る。植林帯の中の急登である。途中で一本。トレーナーを脱いだが、ずいぶん寒くまたもや着込んでしまった。

 1193の高尾まで上がると白鬚への稜線だが、風がすごい。寒い。
 途中ですれ違った夫婦の話では山頂の気温は2℃とのこと。
 たしか三回、見上げるほどの急登があった。
 山頂直下は落ち葉のじゅうたんである。
 「ちょっとおしっこ」とみなさんに先に行ってもらう。さてと振り返ると安芸さんがかがみ込んでいる。
 「おっとぉ」
 何を撮っていたんだろうか?

 山頂では、雲の合間からの光芒が印象的だった。
 そう言えば汗をまったくと言っていいほどかいていない。ゆっくり登ったし、風がきつく気温も低かったからだろう。

 あんまり寒いので一段下りたところで昼食。
 缶ビールをコンビニ弁当のおかずで飲む。寒さでぷるぷる震えながらの食事である。お茶も冷たい麦茶。
 周りを見ると、テルモスに熱いお茶。コンロ、コッヘルを持って来てるのもいる。
 「そうだよね、こんだけ寒かったら要るよね」
 僕は日帰りの気安さで超軽量のザック。寒さを計算に入れていない。
 歯をガチガチさせていると、安芸さんからおしるこをいただいた。今回の山行で唯一あったかい食べ物だった。

 円さん、モリ姉、安芸さん、くみ少年は小白鬚から東谷出合へ下る。
 残り四人はいま登って来た道を引き返す。
 のんぶーと、春風亭すっぽんはあっと言う間に見えなくなった。のんぶーは山猿みたいだし、春風亭は昨晩すっぽんを食べたらしく、すっぽんパワー全開なのである。
 期せずして、僕とEchoさんは静かな山道をゆっくりとデート山行である。
 
 東谷出合まで円さんたちを迎えに行く。すでに林道まで下りておられたが安芸さんがいない。
 円「携帯に番号を入力しながら後ろを来てはるで」
 郭「えっ? いてはりませんでしたよ?」
 円「なんでやねん」
 郭「車を回したとこ三叉路になってたから、上の道を行きはったんやろか?」
 円「おーい、安芸さーん」
 何やら上のほうで声と人影が。

 秋津温泉で温もって外へ出るともはや日は暮れている。
 山はもう冬の気配。翌日のニュースでは木枯し1号だったとのことである。



安芸さん:白髭岳(アサクラ山)
円さん:白鬚岳(北部台高)