ああ、天和山…。 (Feb.9, 2003)
昨年末、天和山から見た大峰山系は素晴らしかった。次はぜひみんなと見に来よう。
好天が第一条件。贅沢を言えば、降雪のあとが望ましい。
金曜日、天気予報を聞いていると、土曜日低気圧が通過して雨になるけれども、日曜の未明にはあがり、その後は晴れるという。
「この日しかない」
DOPPOさんと相談してみんなを誘う。
土曜は午後からの雨を覚悟しつつクロモジ尾から稲村の大日の根っこまで。日中はなんとか持ってくれた。むしろ晴れ間もあった。夕方から雨になる。
「あした、雨、大丈夫?」
「大丈夫、降りません」
夜半にはあがった。予報どおりである。
朝出かけるときは曇っていた。
ひまわりを見ると雨を降らせた雲は大陸からの高気圧に押されていた。スカッと晴れるのは時間の問題。きょうの晴天は疑いようがない。
「いいのだ、いいのだ。山頂はお昼頃。その時晴れてればいいのだ」
のんぶー、春風亭、HAMAさん、モリザネさん、安芸さん、DOPPOさん、円さん、タンタンさん、森っちさん、郭公の9人が黒滝道の駅に集まり和田へ。安芸さん和歌山からすでに到着していた。
発電所への橋を渡り、すぐ右の小さな橋を渡る。
僕にはもうひとつテーマがあった。前回下った道ではなく、尾根伝いにしっかりした道があると言う。その道を教えてもらうことだった。
途中に分岐があった。なるほど、この左から下りてきたんや。右を登るんですね。
でもその分岐はその先でまた合流した。いわばショートカットみたいなものだ。
なんてことのない一本道を緩やかに登って巻道になり沢を横切った。つららや氷のオブジェがきれいだ。
円さん「おかしいなあ。こんな沢渡らへんねんけどなぁ。尾根伝いに歩いたはずなんやけど。テットー(徹頭)徹尾、テットー(鉄塔)のあるとこを歩くんやけど」
もう少し先へ行くと倒木があり先へ進めないらしい。(倒木と聞いたとき昨年末のあの迷った地点の倒木を想起しないわけではなかったけれど)。
「やっぱりちゃうで。あの尾根を通らんといかんはずや」
いったん引き返し、「ここここ」と分岐まで戻る。
鉄塔伝いの尾根道はかなりな急登であった。最後の鉄塔で一本。空模様は相変わらず曇っている。鉄塔を過ぎると暗い巻道になり雪と言うより硬い氷になった。アイゼンを履いたほうがよさそうだ。
稜線に出ると、右は滝山、左が天和山である。ここまで来ても青空は見えない。むしろ朝よりさらに曇ってきたような気もする。山頂まではあと30分ほどである。これはまずいぞ。
川瀬峠。
「そうそう、この道を下りたんですわ」
昭文社の地図では、この川瀬峠で十字路になっていて、ここから僕は和田へ下りたけれども、きょう登ってきた尾根道はやや滝山側についている。
12時半頃、山頂。依然ガスの中である。もう晴れそうもない。
好天ならば、大峰山系がばっちり望まれるのに、何にも見えない。
それにしてもあの天気予報は何だったんだ? 今朝の「ひまわり」でも雲は高気圧に押しやられているかに見えていたのに。
ぽそぽそとコンビニ弁当を食べ終わる。
安芸さんからできたての雑炊をいただく。
森っちさんから熱燗を。
これがなんとも美味しかった。
期待した展望はなかったけれども、何年越しの山仲間である。わあわあ言いながらの昼ご飯であった。
「はよ下りて風呂行こう」
下山は往路の鉄塔道ではなく、川瀬峠からすぐ右へ下る。前回僕が途中で迷った道だ。
細くてやや不明瞭とは言えじっと見ればちゃんと道になっている。
倒木の手前で、「ここここ、ここで迷ったんですわ」と、その時のことを講釈垂れたかったけれども「ふうん」てな具合でみんなさっさと倒木を跨いで行く。
「下るんじゃなくて平行に行くんやで」
その先に水場(沢)があるはずだ。
で、あった。
「あれ?」
その沢は往路で通って、「この道とちゃうでぇ」と引き返したところだった。
つまり僕は12月ここを通っていたのだ。けれどもさっぱり記憶がなかった。道はもっと広く記憶していたし、沢はこんなに大きくはなかったように思う。
「なんやあ、ここやったんかぁ」
記憶ってあてにならないものだ。
黒滝温泉で温もり、天気予報のハズレを気象庁に成り代わって平身低頭おわびしたことである。
「ああ、それにしてもなんでやねん」
つかんだら絶対出るはずの牌が山に寝ていたようなものだったか。
今年は晴れ男を返上せんといかんかも知れんなぁ。
円さん:天和山
HAMAさん:大峰山系 天和山