三本栂−大峰にも春がそこまで (Feb.15, 2003)

 先週の天和山が申し訳ないほどの好天。きょうは、反対の東側から大峰山系を眺めてみよう。予定は大栂山。できれば三本栂まで。

 フロントガラスが霜で真っ白。放射冷却現象。きょうこそ間違いなく晴天だ。水をかけ、デフをかけ、やっとこさ前が見えるようになった。
 そんなこんなで出発はぐずぐずしてしまった。

 大台ヶ原の手前には新しい道路ができていて、三つの新しいトンネルの中はずいぶん明るい。ただ道路は橋梁だから凍結しやすいかも知れない。

 上北山中学の前を右折して小谷林道に入る。ぐんぐん入っていくと分岐があった。まっすぐ行くのと左へ鋭角的にぐっと上がるのと。ただ、後者は落石のため通行禁止。トラロープが張ってある。
 まっすぐ行くしかない。橋をいくつも渡りながらだいぶ奥へ入ったように思うが登山口らしきものがない。落石も見られるようになり、ついには山から染み出た水が凍結していてこれ以上進むのは危険だ。そろそろとUターンして下る。一箇所壊れかけた梯子があった。でも相当上にあるからこれは大栂山への登山口ではないだろう。いったん先ほどの三叉路に引き返し車を止め、手ぶらでトラロープを跨ぎ先の様子を見に行く。林道には工事用の機材があった。さらに先へ行くと西山観音。そこにも登山道らしきものはない。
 と言うことは、この林道をさらに詰めることになるのかもしれない。けれども、そうなのかどうか? 先ほどの梯子から入ってみるか?
 車に戻りふたたびさっきの林道を上る。
 梯子の手前の駐車スペースに車を置き、ま、行けるところまでと梯子から取り付くと、道は右に巻いている。下を林道が走っている。ほどなくその山道は林道に合流してしまった。
 「なんじゃこりゃ? しょうがない。ま、林道を行くだけ行ってみるか」
 林道はひどい落石と、凍結が数箇所もあった。
 20分ほどで左に小屋が見えた。地図にある河合自治会山小屋かと思った。登山者利用不可とも書いてあるから、登山道があるのだろうと、入ってみる。
 小屋の裏に回ると道標があった。三本栂まで1時間。ラッキー。やっと登れる。
 なお、この小屋は「コクワ谷小屋」。そうか、ここを登っているのか。やっと自分の位置が確認できた。ジグザグに登る山道は杉の植林帯の中で、最近道の周りが伐採されたようで明るいし、歩きやすい。早く稜線に出たい。
 ところが、道は途中から右へずんずん巻いて行き、なかなか稜線に出ないのだ。ついに浅い谷を挟んで上に出るとまたもや林道に出てしまった。(あとで気が付いたのだが、稜線への分岐を見落としていたのだ)
 「あれ?」
 と言うことは、山道に入らずに林道を詰めて行ってもここへ来れたと言うことか?
 それに、1時間は経っていて三本栂に着かないと言うことは道を間違えたのかもしれんなあ・・・。
 とにかく山側へ歩くことにする。日陰には硬い雪が残っている。そこには古い踏跡もあった。
 ほどなく峠に出た。道標があった。右は一ノ垰から行者還、弥山。林道は、小谷、R169、河合方面。
 「なるほど、ここが稜線上になるのか」
 正面には木の枝越しに大峰山系が望まれた。わりと近くに見える。
 ここでお昼にする。暖かいのがなによりありがたい。
 三本栂がどっちにあるのかわからなかったけれど、いずれにしてもピーク1418は右になるはずだ。まだ早いからもうすこし見晴らしのいいほうへ行ってみよう。右の標高の高いほうへ歩いてみる。
 風もなく、空は青く、葉っぱの落ちた木々の中の尾根道はなんとも気持ちよい。春が来ているのがわかる。左には弥山、八剣が見える。八剣の山頂部には気品さえ感じられる。
 写真を撮ろうにも木の枝に妨げられてしまう。もう少し高い頂へと歩くと、三本栂の道標があった。
 「なんや、ここやったんか」
 と言うことは、きょうの一応の予定は達したことにはなる。

 先ほどの峠まで引き返し、今度は稜線からコクワ谷小屋へ下りることにする。道はあるはずだ。一頭の鹿が先を急いでいる。
 「心配せんでも撃たへんちゅうに」

 ほどなくコクワ谷への分岐があったが、いまひとつスカッとした見晴らしに恵まれていないために、分岐を越えて稜線を歩いてみることにしよう。
 ようやく比較的ましなところがあった。釈迦、仏生、楊子ヶ宿、舟ノタワ、明星、八剣、弥山と少しずつ見えている。
 仏生のでかさに目が行く。
 最近お気に入りのKitKatのホワイトチョコを食べながらのんびりと腰を下ろす。お茶を飲む。

 さて、下りるとするか。先ほどの分岐まで引き返す。ぐんぐん下って、間違えたところに気が付いた。
 「なるほど、ここを真っ直ぐ行ったのか。それにしても、この分岐は気が付かないんとちゃうかな? ぐっと左に切れ込んでいるものな。ここに道標があればいいのに」

 小屋まで下りて、林道を20分歩き車に戻ったのがちょうど15時だった。 




 ちなみにおおまかな概念図を示しておく。と言っても僕自身が歩いていないところは「たぶん、こうであろう」と言う程度だから、あてにしないでいただきたい。
 黒は林道。赤が稜線、緑が今回僕が歩いたルート。


アルバム