仙千代ヶ峰 (Mar.23, 2003)
雨の土曜日。
所用で近くを通られたDOPPOさんとコーヒーをごちになりながら話をするうちに、仙千代ヶ峰行きが決まった。
大阪からだとずいぶん遠い。
「五時集合やで」
山へ行くようになって早起きには慣れてきたが、「ご、ご、ご、五時?」
集合場所まで約30分。僕は腕時計のアラームを三時台にいくつかセットした。
3月23日(日)
昨日の雨がフロントガラスで凍っていた。
まだ夜の明けきらないうちに待ち合わせ場所を出発。道路が空いているのがありがたい。
気温は急速に上がっていたのだろう。奈良盆地は霧の中だ。
「宇陀のかぎろい」とはこうゆうときに見れるものかもしれない。
高見山の根元を過ぎ、蓮ダム(池木屋山)への分岐を過ぎ、スメール温泉(迷岳)への分岐も過ぎ、ようやっと宮川への分岐に入る。ここからがまた長い長い。
地図によると、仙千代ヶ峰へはふたつのルートがある。ひとつは久豆から大杉谷橋を渡ってすぐのところから、もうひとつは宮川貯水池を右に見ながら走り倉元橋のところから。後者の方が山頂までは近い。
何度も何度も見て頭に入っていたはずの地図であったが、肝心の登山口を行き過ぎてしまった。引き返して、倉元橋に車を止め、登山口をさがす。橋を渡って50mのところにあった。結局片道130キロ、3時間ほど走ったことになる。
いきなりの急登にあえいでいるうちに日も射してきた。尾根が見える頃には、昨日の雨がこちらでは雪になっていたのだろう、白いものが見え始めた。頭上からはぼそぼそと融けた雪が落ちてくる。
倉元谷左岸尾根の頭までノンストップ。一時間と少し。ここで、大杉谷橋からの登山道と合流する。
南斜面は伐採されていて、また新たに植林の予定があるのかもしれない。フェンスが張ってあった。切り株に腰掛けて一本。ここでは携帯がはいるようだ。僕はいまだに携帯からメールを書いたことがない。
東南方向には海が見えた。島も見えた。
「そやそや」とレンズを望遠に付け替える。三脚がないとぶれてしまいそうだし、だいいち目がまわりそう。でもたまには使ってやろう。
山頂までは柔らかい雪を踏みながら稜線に沿う。途中振り返ると台高東部の山並みが一望できる。
迷岳、古ヶ丸山、白倉山、池木屋山。
「奥に見えるのが桧塚やで」とD氏。
山頂から向こうにもふた筋のルートがあるようだ。南西方面の視界は遮られていたけれども、下る途中、稜線からすこし左に入ると絶好の展望地があった。
大台ヶ原は遠目にもまだまだ雪は深そうだ。孤高の白鬚岳は印象的であった。
D氏「あの奥が大普賢やで」
このおっさんはほんまよう知っとる。(^O^)
12時を回った頃登山口まで下りた。貯水池にかかる赤い吊橋、車一台が通れる幅だけれど9トンまでは耐えられるらしい。
六十尋滝で昼御飯。
切り立った崖から落ちる滝は壮観だった。ひと尋は両腕を広げた長さ。人の背丈ほどになろうか。その60倍である。100m近い高度差を落ちていることになる。
そうか、だから発電所もできるのか。
山の名前に因んだわけでもないが、写真がいささか古風な雰囲気になつてしまつた。
DOPPOさん
No,366 仙千代ヶ峰
(台高中部)