NPK、高見山から三峰山へ縦走するの巻 (Apr.9, 2005) |
高見山から三峰山(みうねやま)への稜線も台高山脈の一部である。超メジャーな両山を繋ぐ稜線、やや長いから行けるところまで行って引き返し、次回、向こうの山から繋ごうかと思っていたら、NPの両氏がご一緒しましょう、一方の下山地点に車を一台デポすれば、一回でやれるでしょう、と。
早朝、3時過ぎに自宅を出て三峰山登山口のみつえ青少年旅行村でピッケル君と5時半に待ち合わせることにした。4時半を回るころから少しずつ薄明るくなってきた。途中でお互いの車に気がつき、5時10分に下山地点に着いた。
一台をデポし、もう一台で高見峠へ。
高見峠 |
のんぶーには6時半に高見峠へと連絡しておいたが、僕たちが6時過ぎに着くと、ほどなく彼女も到着。
好天だったが、やや風があり寒いくらいだった。
06:15 高見峠を出発。
身体が慣れないうちからいきなりの急登である。見晴らしのいいところで東に大きな山塊が見える。あれが三峰山か。かなり遠いぞ。
先日N氏から某村史の一部をコピーしていただいた。その中に「餅飯殿」と言う言葉が出て来る。なんと読むのか良くわからなかったが、そうか「もちいどの」か、と気がつく。同時に奈良公園へ行く商店街にその「もちいどの」と書かれた看板みたいなのがあったことを思い出したが、僕は今までそれを「もいちどの」と覚えていた。たぶん、奈良へ「もいちど」おいでって意味なんだろうと思っていたのだった。(^O^)
高見山山頂 | 北尾根。南側はざっくりと崩壊している。 |
06:50 高見山山頂。
一本取っていよいよ縦走路に入る。
サイメ谷山。北尾根と縦走路との分岐。 |
07:25 サイメ谷山(山名板には、サイ面山)
北尾根と縦走路の分岐である。
それから少し入り日当たりのいいところで一本。
朝が早かったから、ザックからおにぎりやらパンやらでまあ朝ごはんである。
地図でルートを確認すると、同じ昭文社の地図だがN氏のでは切れていて載っていないと言う。「そんなことない。僕のでは載ってた。きっと版が違うんやで。出してみるわ」とザックの中を探すと見あたらない。「あらあら車に忘れたかな?」
P氏が「じゃあ僕のを」と広げると、載っていて「ほらね。何年版?」、僕のと同じ2004年の版である。
そのP氏がなにやら「???」。「おかしいなあ、昨晩見たときは載ってなかったんやけどなあ。ひと晩経ったら載ってるわ。この地図、ひょっとしてKさんのやろか?」「さあ・・・?」
僕はインターネットから取り込んだ国土地理院のも印刷していたから、とくに困りはしなかったけれど。
道は、存外しっかり踏まれていて、道標もあり、順調な滑り出しである。
トクマ山西峰。問題の地点。 | いつたい誰の地図を持つているんだか。(^O^) |
08:15 トクマ山西峰
道は北へ下るようにしっかり踏まれていたし、テープもそのように付いていた。東の稜線にも踏跡はある。「←高見山 請取峠→」の道標がやや斜めにかかっていて、その斜め具合がどうやら北へ下れの意のようにも思われた。
ただ、昭文社のには「トクマ山」とだけ書かれていて西峰、東峰の区別はなかったし、国土地理院のには山名さえなかった。また、その位置さえ判然としないのである。つまり、僕たちがいま地図上のどこにいるのか定かではなかったのだ。
しっかりした道だったし、テープもあるのだから、北へ下るのだろうと急斜面をずんずん下ると、正面に鎧岳、兜岳が見え、行く先に縦走路が見えないのだ。
「これでええんやろか?」「ほぼ真北に下ってますよね」「テープが縦走路を示しているとは限らないし」
地図と地形とを照合しながらP氏が、
「ひょっとするオシャ谷山へのこの尾根を下ってるかも」
トクマ山東峰(p1052) |
「そうかも知れん。下るのではなくあの稜線に沿うのかも知れんね」
「もし、あの稜線を伝ってP1052に出たら、いまのこの道でいいことになりますよね」 「そうゆうことになるね。引き返して確認しよう」
僕たちは「これがセオリーだから」と急斜面を登り返すことにした。僕はネットから取り込んだ地図を見ながらこの北へ下る道はいずれ東に折れているからたぶんこれで間違いないような気もしたが、確認しておくことの方が大事だ。
先ほどの分岐に戻り向かって左の稜線を伝う。
08:40 トクマ山東峰(P1052)
なるほど、そうか。つまり今僕たちは地図上のここにいる。さっきの道で良かったんだ、と三人納得する。
08:50 再び、いや三たびトクマ山西峰。今度は安心して下れる。
「大台から尾鷲へ下るか、尾鷲から大台へ登るか、どっちがええやろ? 登っても下っても山中一泊やけど」
「尾鷲の海抜0メートルから登った方がええんとちゃいます? ああ、こうなんやってわかるし」とN氏。
「なるほどね」
請取峠 |
09:45 請取峠
小刻みなアップダウンが続き、地形的にも地図上ではややこしそうだったがしっかり踏まれた道とテープのおかげで迷わずに来れた。ここで一本。東西の縦走路に北の御杖村と南の飯高町を結ぶ道が交差する地点である。
N氏が二種類のロールケーキを。切り分けるナイフはない。
「Kさん、手ぇきれい?」
「きれいきれい」なわけないのだが、強引に二つに千切る。手についたクリームをぺろぺろと舐めた。
平坦な巻道を小気味よく歩くうちに「これまちごてるで」。縦走路は稜線に沿っている。どこかでその稜線に上がる道があるかと思っていたがそれらしい気配もなくずんずん巻くのみである。「これって飯高町へ下る道とちがうかな?」
地図を広げ、いま歩いているルートと縦走路のルートとの違いを示す。
セオリーに従って請取峠へ戻る。するとあったあった。稜線へ登る道があったのだ。
僕もN氏もその登る道を背にして休んでいて、巻道しか見えなかったから当然その道を行くものと思い込んでいたのだった。
先頭を行くP氏が形容し難い声を上げた。「なに? 熊?」
どうやらヘビだったようだ。ヘビは僕も苦手だ。
路上に糞がある。シカにしては大きい。P氏、「熊ちゃいますか?」
(先ほど、クマ、イノシシ、キツネ、タヌキ、サル、ウサギの「糞」でそれぞれ検索してみると、どうやらウサギだったような気がする)
奥船山 | 大滝山。三角点がある。 |
10:35 奥船山(P944) ここで一本。
NP氏ともに携帯が入るようだ。P氏のは僕のと同じ通信会社なのだが、僕のは圏外になっている。「???・・・。何でやろ?」
11:05 大滝山(P979)
立ったまま、「ああここが」って感じでなんだか締まらない休んだようなそうでないような。ここも広い山頂部で、注意しないと別の尾根に沿ってしまいそうだ。
水無野山へ | 水無野山から三峰山を望む |
11:20 水無野山(P991) 唯一わずかながらヤブコギをした。
三峰山が見える。
白髪山。山名板に約880m位とある。 |
白髪峠。右下に飯高町への下山路。 |
11:50 白髪山(約880位)
高見峠から五時間半である。
さすがに疲れてきて座り込んで足を投げ出して休んだ。お昼にしようかどうしようかとぐずぐずしながら結局もう少し先にしましょう、と。
北へ尾根が下っていて鹿よけネットぞいに道らしくなっている。
その北側が見通せて古光山、後古光山の麓に赤い屋根の牧場が見え、某氏が言う。
「御杖牧場のおいしそうな牛、見えるかなぁ?」
正午を知らせるサイレンやチャイムがわずかに前後して縦走路の北の御杖村、南の飯高町から聞こえてくる。
12:10 白髪峠
あらあら、案外早く着いてしまった。じゃあもう少し歩いてみましょう。
12:45 P940
待望の昼食である。(^O^)
僕は例によって、コンビニ弁当。小さなおにぎり四個におかず付き。おや? 箸がない。おかずも手づかみで食った。
N氏からコーヒーをよばれる。
P氏の携帯が鳴っている。ここも通じるようだが、僕のは圏外。???
いったんスイッチを切って入れなおすとアンテナが立った。
N氏「そんなこともあんねんなぁ」
僕は以下のように報告メールを書いた。
> 白髪峠を越えてP940で昼ご飯。さすがに疲れました。大休止。途中二度道を間違えた。(^o^)
> 方向音痴三人組です。あと二時間ほどで三峰山。
> 口だけは三人とも元気です。
D氏から即、返事があった。
> そかそかnpk、がんばりなはれ
高見峠からここまで6時間半。一人だったらどこまで来れたろうか?
せいぜい白髪山までも来れたかどうか?
まして迷いやすい山中でどのような判断ができたか?
新道峠あたり | 八丁平 |
13:40 新道峠
広い平坦部に出た。無粋ながらなんの木かは知らないが、一面に立ち広がっている。なかなか素晴らしい光景だった。
テープがなければどっちへ行っていいかわからない。
ほどなく人の声がして、新道峠に着いた。
愛知から来られたらしく、月出登山口から登って来た、明日は吉野へ花見の予定とのことである。
N氏は霧氷の時期、この新道峠から登ったことがあるようで、「雪がなかったらこないになってんねんなぁ」と妙に感心の風情である。
柔らかい地面がしっとりと歩きやすく、いくつかの小ピークを越えると三畝峠。
僕は三峰山そのものが初めてだ。ここまで来ればもう山頂はすぐ。右は八丁平、左へ登ると山頂である。
「どうする?」
「山頂は最後にとっておこう」
と言うことで右の八丁平へ。見晴らしのいい、清清しい光景。明神平に似ているか。
一本取り、いよいよ山頂へ。
「どうぞどうぞ」「いやいや、どうぞどうぞ」などと先を譲りながら最後の登りである。
三峰山山頂 |
不動滝 |
14:40 三峰山山頂
とうとう、ついに、やっと、たどり着いた。
高見峠から8時間半。
快晴の一日。早朝の出発時点では寒いくらいだったが、ここでは照りつける太陽の下、むしろ暑い。
方向指示板があり、古光山の麓には赤い屋根の御杖牧場が見える。
「牛、見えるかなあ」
某氏はやたらと御杖牧場の牛にご執心である。
P氏はメル友と交信。相手が誰であるかは伏せておく。(^O^)
下りは避難小屋から不動滝へ。
NP氏は、道そばの葉っぱを見ながら、一人静、二人静、いやいや、ハシリドコロがどうだとか。
15:35 不動滝
滝の横にも山からの湧き水が出ている。
N氏、コップにすくいながら10杯ほど飲んだんとちゃうかな。
「美味しい?」と聞くまでもない。
僕は2リットルのポリタンと500ccのペットボトルに汲んだ。
ほどなく林道へ。
ふう、きょうもかなり歩いたぞ。
16:15 みつえ青少年旅行村駐車場
まるまる10時間であった。
高見峠へ引き返し、それぞれの車を回収し、みのや温泉へ。
早朝から睡眠不足を押して10時間の山歩き。お疲れさまでした。
おかげさまで、二回に分けることなく一度で歩けたし、山中もとても楽しゅうございました。
Nさん、Pさん、おおきにね。
ピッケル君:縦走 高見山〜三峰山