神仙境―雪の弥山・八剣 (Jan.21/22, 2006)
土曜の予報が雨から雪に変わり、リベンジが決まった。
1月21日(土)
06:30
天川村役場からヘッデンを点けて山道に取り付く。雪はない。急登を喘いで鉄塔で一本。
セーターを脱ぐ。
周りの山には雲が付いている。
登るにつれて融けかかった雪が再び凍りアイゼンを履こうかとも思ったが辛抱するうちに林道に出た。
林道の雪もかなり締まっているようだ。
雲海に小島のような下辻山、鉄塔がp1287、天和山。 |
右に見える下辻山、天和山のピークが雲海の上に小島のようだ。はるか上にも雲。高曇りである。言ってみれば、雲と雲のサンドイッチ状態の中を歩いているのである。
出がけに見た天気図では、太平洋上の低気圧(勢力は弱そうだったが)と大陸側の高気圧の等圧線の境目が、ちょうど大峰あたりで接しているように見えた。低気圧とそれに伴う前線も心持ち南にあった。
09:30
林道から山道に戻り小ピークを幾つか越えて栃尾辻。
ここでアイゼンを履いた。雪はかなり締まっていて、さほど潜ることもなかった。
夏道どおりに登り上の平坦地に出て、p1518の手前。さあどうしよう。登るか、巻くか。
夏道を行けるだけ行ってやばそうなら尾根に上がることにする。
雪が締まっていたのがありがたい。一箇所危ないところがある。岩が出張っていて、右はストンと切れている。ピッケルをぐっと刺して慎重に渡る。
稲村ヶ岳 | 大普賢岳 |
10:45
熊渡への分岐。
次ぎは頂仙岳だ。どうする? これまた慎重に夏道を巻いた。
12:40
高崎横手。前回は雪、雪、雪の世界だったけれども、きょうは枝も軽く視界もあった。
13:25 狼平。
結局ここまで夏道どおりに歩けたのである。雪も降らなかった。
時間的には弥山の避難小屋まで行けなくもなかったが、お互い睡眠時間も足りないことでもあり、ここでゆっくりすることにした。
入口の戸が半開きのまま締まらない。畳一畳ほどの板がありそれでいちおう塞いでみるが、小屋は今のところ僕たち三人だけであるからかなり冷えた。水を汲み、お湯を沸かし暖をとりつつそのお湯で焼酎を飲む。そういえば昼ごはんの巻き寿司とお稲荷さんもまだ食べてなかった。山では酒が進む。500mlの焼酎もごくわずかに残ったくらいである。
晩御飯も食べなければ。うどんを作りアルファ米で雑炊。豆やあられをトッピング。
靴をシュラフとシュラフカバーの間に入れて寝たのは五時ごろだったか。
1月22日(日)
04:00 起床。
外へ出ると粉雪交じりの風が頬に痛い。星は見えなかったが半月がちょうど真上に見えた。雲は薄そうである。
ペットボトルの水が凍っている。
寒い寒いと言いながらラーメン。昨日の残りのご飯でふたたび雑炊。テルモスにお茶。
つま先が痛いほど冷たい。三人シュラフに足を突っ込んだままぐずぐずしているのである。
06:20
サブザック、ワカン、ピッケル、ヘッデン。
いよいよリベンジである。
冷気がぴんと張り詰めた静寂の雪の世界。
夏道の階段は締まった雪の下である。おおよその見当で右上に登り浅い谷を跨いで尾根に乗る。
雲が赤く染まり風に流れていく。
静寂の世界 | |
山の申し子、タンタンさん | 山に憑かれたおっちゃん、DOPPOさん |
07:11 弥山・八剣の鞍部から太陽が昇った。
雲が流れると紺碧の空である。白い樹氷が美しい。
さすがに夏道は通れず、歩きやすい所を選んで登ると昨年のように弥山山頂、神社の裏に出た。
07:40 弥山山頂。
吊尾根を八剣山頂へ。まさに無垢のヴァージンロードだ。
無垢の吊尾根を八剣へ | |
08:20 八剣山頂。
正月、敗退した時より雪こそ少なかったけれども、この景色の中に身を置けたことが何より嬉しい。しかも、僕たち三人のほかには誰もいないのだ。
僕たちは再び吊尾根を弥山へ引き返し、狼平へ下り、ゆっくりと一本取って、熱いお茶を飲んだ。
13:00 栃尾辻
15:45 天川村役場
DOPPOさん:No,474 リベンジ八経ヶ岳
タンタンさん:ラピスラズリ