稲村ヶ岳―祈り山行 (Dec.19, 2010)
昼食の後、うとうとしかけた頃、ピッケル君からメールがきた。
・明日予定ある? (暇やっちゅうに)
・稲村に剣が祀られてるところがあるらしい (うん、あるある)
・ご一緒にどう? (OKでっせ〜)
というわけで、朝7時黒滝で待ち合わせ。
お地蔵さん |
出がけにフロントガラスが凍っていた。放射冷却現象できょうは間違いなく晴れる。
一台を観音峰登山口にデポ、一台を母公堂に駐車して登り始める。
09:10 |
07:30 母公堂
09:15 お地蔵さん
09:30 稲村小屋
稲村小屋 |
稲村ヶ岳は1725.9mという高さのわりには登山道は比較的緩やかだ。あれやこれやと世間話をしながら法力峠を越え、高橋横手を巻く。雪は粉砂糖をふり掛けた程度から、徐々に厚化粧になってくるが、どうということもなくふつうに夏道を歩いて稲村小屋。
青空がきれいだ。携帯も通じた。
小屋から上の雪量は少し増えるけれど、大日のトラバースもキレットを過ぎて鎖場もノープロブレム。最後のトラロープの急斜面だけが少し往生したくらいで、ごく普通に山頂まで。
山頂稜線上の剣のモニュメントは、雪で夏道が通れない頃、尾根沿いに登れば通るところだが、きょうの雪では石楠花の群生にさえぎられて歩きにくそうだ。下山時に通った方がいいだろう。
10:15 稲村ヶ岳山頂
稲村展望台より山上ヶ岳 |
山頂からの眺めは四方ともに抜群。一本取って、「では剣を見に行きましょう」。
誤算だったのは、山頂の展望台からさほど隔たらないところにあるものと記憶していたが、岩場の展望台、西側がストンと切れた尾根を経てさらに、北へ戻らなければならなかったことと、雪の量が少なかったために、かなりの藪こぎを強いられたこと。
岩場の展望台 |
10:35 岩場の展望台
稜線上にあるから下らずに歩きやすいところを選びながら、とは言うものの、石楠花、そのほかの枝々が邪魔をする、潜ったり乗り越えたり、しかもやせ尾根にまで張り出していて枝をつかみながら足元が滑らないように気を遣うことであった。
浅い鞍部までたどり着いたとき、ピッケル君「行きすぎたんとちゃいますかねぇ」。
でも見落としているはずはないから、もっと北にあるということだ。稜線の終わりまで行ってなかったら引き返せばいい。
なんせ、ピッケル君の今回の第一のテーマなのだから、それはなんとしても探し出さなければ。
雲一つない青空、枝々と格闘してきたから汗ばんでもいる。ぼんやり先を見ると赤さびの台座がまず目に入った。剣は枝の中に同化しているのか判然としなかった。
「なんや、そこやんか」
浅い鞍部から登った目前にあった。
剣 |
11:00 剣のモニュメント
ピッケル君のお祈り。単に手を合わせただけではなく、真剣なのである。
思うところがあって彼はここまで来たのだ。
剣に祈るピッケル君 | 大日岳で祈るピッケル君 |
下りもまた歩きやすいところを選ぶ。尾根は石楠花の群生。とても足を踏み入れられない。ほぼ真下に下ると夏道のロープが見えた。右にトラバースしつつ適当なところで道に下りると、ロープの付いた急斜面の上に出た。
アイゼンを履く。
無事通過して、今度は大日に登る。
11:30
大日山頂でもまたピッケル君の真剣なお祈り。
小さな祠がふたつ。いずれも大日如来が祀られている。
小屋に戻り昼食。
下山は観音峰経由の予定だったが、レンゲ辻から谷を下ることにした。
アイゼンを脱ぎ、お気楽モードだったのだが、念仏山の西側の巻き道になると再び雪道になった。それでも、取り立てて言うほどのことでもなかったのだが、先を行くピッケル君が「えっ! こらあきませんよ郭公さん、アイゼン履きましょうよ」
上:山側 中:谷側 下:トラバース道 |
13:00 ひとつめの氷壁
山の上部から谷底にかけて厚い氷の壁にでくわした。道はそこを横切っている。おそらく吹き溜まった雪がその上に乗っている状態である。
雪の中に靴を蹴りこんで足場を固めながら進んだが、あと二、三歩で通り過ぎるところでその雪も薄くなりいきなり氷の足元になった。さすがに怖い。滑ると谷底までボブスレー状態。
こんなトラバースがあと二回ほどあったが、慎重に、無事通過した。
たぶん下の写真と同じ地点だと思う。 |
「待って、待って。写真撮るから」「こわーっ。はよ撮って〜」(^o^) |
13:20
レンゲ辻でホッと一本。
レンゲ谷の下りはさいわい凍結箇所はなかった。
14:20 林道終点
母公堂 |
15:00 母公堂
母公堂は役行者の御母堂が祀られている。
ピッケル君はまたもや長い祈り。どうぞピイちゃんの願いが成就できますよう。
黒滝でゆっくりとお湯に浸かった。