雨の洗礼、台高縦走路核心部―山ノ神ノ頭から川上辻
(June 17/18, 2006)
4月22日の続きをやる。山ノ神ノ頭から大台川上辻まで。台高縦走路の核心部と言っていい。ここをやるとピッケル君は三峰山から海抜0メートルの尾鷲までが繋がる。
ただ、予報はまたもや雨模様。土曜は晴れ後雨。日曜は曇り時々雨。
じつは、5月に予定していたのだが、その時も雨の予報できょうに順延したのだった。
さらに順延すればテンションも下がるかも知れない。長く引っ張らずにひと区切りつけておきたい気分でもあった。雨は免れないとしても土曜の晴れマークががんばってくれるのを期待して行くことにしよう。ピッケル君も了解である。
6月17日(土)
07:00 川上道の駅。
定刻に集合。まず大台ヶ原へ。川上辻の駐車スペースは杭とロープで柵になっていたので、大台ヶ原駐車場に一台をデポ。
引き返して三之公登山口へ。
09:10 三之公登山口。
天候は高曇り。前回より距離は短いし、水の補給箇所もいくつかあるから、今回の方が気分的にも断然楽である。急登ではあるが、ピッケル君に遺伝子の配列のことを聞きながらまずは淡々とした登りだ。
11:20 山ノ神ノ頭。
11:55 湯谷ノ頭。
小刻みなアップダウンを繰り返す。
12:35 p1164。
地図の「迷」マークの地点である。ピーク手前に右の尾根へトラバースらしいテープがあったがピークを確認。やや引き返して尾根の分岐で昼食。
小さな虫がやたら飛んでいる。
尾根を下るとほどなくp1082手前のキャンプ適地。谷へ下り水を汲む。幕営用の水である。
ここで本降りになった。雨具を着ざるを得ない。2Lの水の重さが加わり、とたんに体は重くなった。
雨に濡れるのみならず、雨具の中もびっしょりと濡れている。額から垂れる水滴は生暖かく目に沁みる。
14:15 | 14:35 父ヶ谷の高 |
14:35 父ヶ谷の高
先を行くピッケル君が待っている。左のより高いほうへ尾根を伝うとウグイ谷高へ行くはずだ。台高縦走路の道標は右を指している。ぐっと遠慮なく下る。
1094ポイントが二個所ある。一つ目を過ぎたか、ふたつ目はまだか、よくわからないが縦走路を外れてはいないはずだ。しかし、派生する尾根が随所にあった。さいわい、道標がしっかりしていて見落とさないかぎり赤の破線上を歩いているはずである。
おそらくだがふたつ目の1094ポイントだったか、疲れて一本取ろうと倒木に腰掛けた頃、雨はさらに強くなり、「ままよ」と、もう濡れるに任せるしかなかった。
雨の洗礼。
目に沁みる汗混じりの雨だれを首に巻いたタオルで拭く。そのタオルも小休止のたびに絞ることであった。
ウエストポーチのタバコも湿りかげん。携帯はビニールに包んだ。カメラのカバーも濡れている。雨を含んだザックはかなり重くなっている。
次のテント場は振子辻手前のキャンプ適地、ピッケル君と僕は、
「きょうはもうそこで幕営しようぜ」
これを下った鞍部のはずである。
15:30 |
鞍部に着いて一本。おそらくここがキャンプ適地だ。ようよう雨脚は弱まり、木々やその葉に遮られてほっとひと息である。
時刻は16時を回った頃だったか。これだともうひとつ先のテント場までも行けなくはないかもしれない。
「どうする?」
と言いながらじつは二人とも、きょうはもうここで充分の気分だったろう。
雨具を脱ぎ、スパッツ、ザックカバーをはずし木の枝に引っ掛ける。
シャツも下着もずぶぬれ状態。
テント設営後、まずはビールをぐびぐびと。
テント入口のファスナーをごそごそしていた拍子に残り少なかったけれどビールをこぼしてしまった。
「あらら」
タオルで拭くことである。翌日はそのタオルからビールの匂いがして困った。
もう一缶ある。それも飲んで焼酎。
晩御飯はピッケル君お勧めの焼肉だ。業務用スーパーで仕入れたタレに漬け込んだ肉をキャベツ、たまねぎ、しいたけ、ピーマンと一緒に塩コショウにんにくで炒める。
アルファ米も一つスタンバイしておいたけれど、結局焼肉だけでお腹いっぱいになった。
「もう寝るで」
ヘッデンが要らないうちから寝袋にくるまった。
6月18日(日)
夜中に何度か雨音を聞いた。
05:45 ピッケル君に起こされる。
外へ出ると、早朝の雨上がりの森である。しっとりと落ち着いている。
「ええやんか〜」
からっと晴れた早朝も素晴らしいけれど、これもまたいい。
テント泊ならではの味わいだ。
カメラを出すと頼みもしないのに倍率がマックスまで上がってしまう。
「あらあら」
雨に濡れて誤作動を起こしているようだ。
「うーん」
朝ごはんは、昨日のアルファ米をラーメンに入れて雑炊風に。焼肉も少し残っていてそれも入れた。
雨具は上だけ着ることにする。
テント場の朝 |
7時を回って出発。鮮やかな緑と雲海。素晴らしい。
07:30 振子辻。ここも分岐になっていて迷いやすい。
ぐっと下って鞍部にキャンプ適地。
谷を挟んで草地のピークが見える。経ヶ峰か大和岳方面だったか。
地図では引水サコまで逆コの字になっているが実際に歩いてみると展望がイマイチだったせいか、いや、カーブがそれ以上にあったせいかと思うが、逆コの字状に歩いたと言う意識はなかった。とにかく藪あり、アップダウンあり、痩せ尾根あり。
かなり長く感じられた。
08:55 引水サコ。
前はここで幕営したから覚えていた。
御座クラへの登りはロープを掴みながらの急登だった。
こんなんだったかな? さっぱり記憶にない。
御座クラへ。 |
09:25 御座クラ。
岩場の下を巻いてようよう核心部を抜けた。
10:05 添谷山。
あとはもうなだらかなはずである。添谷山周辺の椈林は素晴らしい。
大台辻へ下りたのは11時20分ころだったか。
筏場からの道は数箇所崩落しているらしく通行止めになっている。
川上辻までまだ距離はあるもののここからはしっかりした道になっていたはずだ。
12:10 金明水。
ポリタンに汲む。自宅でのコーヒー用だ。
12:10 金明水 | 12:30 崩落箇所 |
12:30 崩落箇所があった。
「あらあら」
ロープが付けられていて慎重に下る。
12:45 安心橋。
いよいよフィナーレは近い。
向かいに見えるあの稜線へ上がったところかと内心思いながら歩いたが、記憶以上に距離は長く、いくつも巻きながらようやっと終点が見えてきた。先を行くピッケル君、
「着きましたで〜」
ふふっ。
大台ヶ原駐車場への車道に出ようとすると石段にヘビが二匹いた。青大将か?
かなりでかい。
「交尾してるんとちゃいますか?」
うらやましい。
ピッケル君が石を投げるけれど動こうとしないのである。
まず彼が横を走りぬける。
続いて僕もそろっとすばやく。
13:35
やっと車道に出た。雨も上がっていて、むしろ日が差しかげんだった。
ザックを置いて空身で駐車場へ。
まずはビールで乾杯。
「おめでとう〜」