金剛三昧 (Jan.10,11,12, 2004)

 1月11日、久しぶりに葛城山に登ることになった。久留野峠からダイトレを歩くつもりでいたが、DOPPOさんから、金剛山は大日岳経由で太尾塞跡、太尾と下り、青崩から葛城山へ登ったらどうだろう?とアドバイスをいただいた。
 地図を見て、「なるほどこれか」。と同時に近場の金剛山だけれど、まだまだ歩いたことのないルートがいくらでもあることを痛感させられた。
 三連休の初日、せっかくだからこの未踏ルートを歩いてみよう。
 妙見谷を詰め金剛山、それから大日岳、太尾塞跡、太尾の分岐を経て青崩、それから葛城山へ。これが当初の予定であった。

1月10日(土)

妙見滝 左の岩場から右へ


09:20 妙見谷入口
 風もなく穏やかな日和である。30分ほどで妙見滝に着いた。まずセーターを脱ぐ。
 沢の上をこそぐように付いた道は雪があればかなり危なっかしく思われた。
 道はほどなく沢に沿う。左の水に濡れた岩場を上り右へ沢を横切る。増水、あるいは凍結時はこれまた難所かと思われた。
 念のためにアイゼンを持ってきたが、きょうは雪はないし、温暖であり凍結もない。
 谷の上は青空だ。
 
10:30 
 沢の源頭に着いた。
 斜面から水がしみ出ている。なるほどそうかとちょい嬉しくなった。
 上から子供の声が聞こえる。山頂が近いのだ。
 急登を喘ぐとすぐ左下に千早からの登山道が見えた。そしてほどなく売店前の広場に出た。
 「ふう」

妙見谷源頭 葛木神社、結局三日連続でお参りした


10:50
 山頂の葛木神社にお参りをして、転法輪寺に戻り、すこし迷って人に聞いたけれども、大日岳へ向かう。

11:05
 大日岳。
 ここから六道の辻、太尾塞跡へと下るが、僕には初めての道である。道は存外しっかりしていて、登ってくる人と何人もすれ違った。
 小気味よくとんとんと下る。

太尾塞跡の分岐 分岐の標識、ベンチにマジックで書いてあった


11:25
 分岐があった。青いベンチに右水越峠、左青崩とマジックで書かれている。最初の分岐のはずだからここが六道の辻に違いない、太尾塞跡はもう少し下にあるはずだ。僕は確信を持って右水越峠の道を下った。
 じつはこれが大きな勘違いだったことに気がつくのはもっと後になってからのことだ。

 これまたとんとんと小気味よく下るけれども次の分岐になかなか着かないのである。見落としたのだろうか?
 ようやく分岐が見えてきた。道路工事中らしき模様である。山道と言うよりもはや林道。 ひょっとしてここが太尾か? すると左に取れば青崩だ。

11:55
 沢に架かる赤い橋があった。右葛木神社、左水越峠とある。
 えっ? 混乱してきた。そしてその橋にはどうも見覚えがある。
 改めて地図を出す。
 「なんだぁ、これって、水越峠側から金剛山へのダイトレの入口じゃないかぁ。ってことはオレはどの道を歩いてきたんだろう?」
 ここでようやく自分の間違いに気がついた。「やれやれ」
 峠へ下り、水場を経て、平坦なところにあった切り株で昼御飯。
 さて、どうしたものか。
 このままダイトレを葛城山に登るのは気が進まなかった。明日たぶん登るだろうから。
 青崩まで歩いて葛城山へ登るか? 決心がつかないままアスファルトの道をバス停の方へ向かう。
 いったいどこで間違ったのか? もっとも可能性があるのはあの分岐を右に取ったことだろう。あそこは六道の辻ではなく太尾塞跡だったのかもしれない。
 バス停のヘアピンカーブを曲がるとそこからも山へ入れる道が付いている。きっとこれが太尾の分岐から太尾塞跡へ登る道だろう。
 時間もあることだからもう一度確かめに行こう。再び山道を登る。

太尾の分岐 太尾塞跡


13:05
 分岐があった。そうだ、これが太尾の分岐なんだ。するとやっぱりあそこは太尾塞跡だったんだ。でもそれだと六道の辻はどこだったんだろう?
 とにかくもう一度登って確かめてみよう。

13:35
 朝、右に取った分岐に出た。やっぱりここが太尾塞跡だったんだ。
 周りを見ると目立たなくてかつ読みづらかったけれどたしかに「太尾塞跡」と書かれた標識らしきものがあった。
 「では、六道の辻を確かめに行こう。そこから石ブテ尾根を下れば青崩に下りれる」
 正面から右への尾根が石ブテ尾根にちがいない。

六道の辻 まるで鈴鹿みたい


13:55
 登り返しながらその尾根との接点あたりに近づくと、木を何本も交差させて立ち入り禁止ふうに道を塞いだところがあった。
 「あっ、これやったんかぁ。ここが六道の辻なんやぁ。よし、ここから青崩へ下りよう」
 その道に入るとテープもあった。クッションの効いた歩きやすい道である。道の両側は笹が生えている。
 ほどなくして道はガクンと90度左へ折れている。地図を見る。「そうそう、これに間違いない」。いま、僕は石ブテ尾根を下っているのだ。
 笹の中をぐんぐん歩く。ついに背丈以上の笹の中を歩くことになった。
 「うへっ、これってまるで鈴鹿やんか」
 笹のトンネルを過ぎると正面は杉林であった。そっちの方へ下る道も付いているようにも思えたけれど周りを見回すと左のブッシュの方へテープが付いていた。細い道でかつ急な下りであった。つま先がツンツンしそう。足を木の根にひっかけでもしたら大事になりそうである。用心しつつ、つま先をツンツンさせながら下ると沢の音が聞こえはじめた。

14:40
 やっと平坦な沢そばまで下り、ほどなく舗装された林道に出た。「ふう」
14:55
 見覚えのある青崩に到着。側溝に腰掛け残り一個のパンをかじる。
 さて、どうする? バスを待って富田林へ帰ってもよかったけれど、葛城山まで登ればロープウェイがある。御所から電車に乗ってもいい。日暮れまでまだ時間がある。

 と言うわけで、国道を横切り青崩から葛城山へ登ることにした。
 この道も初めてである。
 しっかりした道だった。
 途中に水場があった。冷たくてとても美味しかった。備え付けのコップで二杯飲んだ。

青崩の登山口 葛城山頂にて


15:55
 途中のベンチで一本。ずいぶん汗をかいたから停まっているとさすがに冷えてくる。
16:30
 とうとう見覚えのあるテント場が見えた。弘川寺からの道との合流点である。
 山頂はどうしよう? 明日も来るのだからパスしようかとも思ったけれど、まあ、せっかくだからと雪のない草地を「やれやれ、いったいなにやってんだか」の気分で登っていくと、なんと夕陽がとってもきれいだった。
16:35 山頂着。

 ロープウェイ乗り場へ行くとちょうど出たあとで次まで30分ほど待つことになった。
 汗はかいているし、それが冷やされて寒くなってきたからセーターを着る。奈良の町並みに灯りが点りはじめた。
17:22
 やっとロープウェイが動く。下るころは夜景がとてもきれいだった。
 バスは18:02。あらら、寒い中30分も待たなければならない。御所まで270円区間。歩けんこともないかとすっかり暗くなった道を歩くことにした。
17:45
 上がって来るバスとすれ違う。
18:00
 そろそろバスが下る時刻だ。
 追い抜かれてなるものかと後ろを見い見いしながら、18:10、タッチの差でひと足早く駅に着いた。

・妙見谷から金剛山
・金剛山からカヤンボを経て水越峠
・水越峠から太尾塞跡
・六道の辻から石ブテ尾根を青崩
・青崩から葛城山

 道を間違えたために余分に歩いてしまったけれど、どのルートも今回初めて歩いたことになり、結果的には収穫の多い山歩きになった。おまけに、ロープウェイ乗り口から御所までも歩いてしまった。


葛城山、新年会登山