洞辻茶屋から小普賢岳 (Oct.1, 2010)
04:00 起床
きのうの雨は夕方には上がったけれど、まだ雲は重そう。
予報では晴れマーク。紀伊半島に接近していた低気圧は太平洋へ離れ、緩やかな等圧線の高気圧に覆われる予想である。山はどうだかわからない。どうしたものか。
日帰りだから着替えれば装備の九分九厘は済む。ぐずぐずした気分を変えるには着替えるのがいちばんだ。
着替えればあとは早い。コーヒーを淹れるには時間がかかるから、TeaBagをポットのお湯に揺する。
昨晩はRINちゃん、タンタン両氏と飲み、でかいおにぎりを食ったのでまだ満腹状態。途中でコンビニに寄るから朝食用にパンをひとつ余分に買おう。
05:00 自宅発
紅茶をわずかに残して自宅を出た。
金剛葛城山系もまだ雲に包まれているようだ。
いつだったか鈴鹿で旅人さんが言っていた。
「行こうか、やめとこうかって思うときは、行った方がいい。行って良かったとやっぱり思うもんね」
大橋茶屋 |
07:00 大橋茶屋
山上ヶ岳はまだ雲の中。駐車場も濡れていたがさいわい降ってはいない。
洞辻茶屋―山上ヶ岳間は下るつもりだったが、登ってこその奥駈かとも思い直し、清浄大橋を渡り結界門をくぐる。
07:40 一本松茶屋
巻き道にも陽が射してきた。
撮ったときはお気に入りの一枚だと思ったのだが・・・ |
洞辻茶屋 |
08:30 洞辻茶屋
風もなく穏やかに晴れて、先日のおどろおどろしさとはえらい違いだ。
二つほど小屋を過ぎて道は左右に分岐する。右が楽なのだが、木の階段が傷んでいるらしく通行禁止になっている。もうひとつ平成新道と書かれていたが道ができているようだ。左の行者道を登る。
木の階段、鎖場を慎重に登って鐘掛岩、西の覗きを過ぎると宿坊。
そう言えば、勝負塚山からこの宿坊群が見えていた。
09:35 大峰山寺
告
身口意三業を整え
参入召されよ
大峰山寺法主
お花畑から稲村ヶ岳 | 湧出岩。ここが山頂か? |
山頂は湧出岩のところか。大日岳によってすぐそれとわかる稲村が正面に見える。
神変大菩薩像に手を合わせて先へ進む。行けるところまで。阿弥陀ヶ森の分岐までは行けるだろう。できれば小普賢まで行ければ御の字だ。
10:20 小笹宿
沢の音が大きくなり、見覚えのある岩の下を過ぎると小笹宿。
緩やかに登り、右には竜ヶ岳のピーク。帰りに寄ることにしよう。
左のピークを巻くと女人結界門が見える。
小笹宿 | 阿弥陀ヶ森分岐 |
10:50 阿弥陀ヶ森分岐
ここは案外早く感じた。ここで一本。
大峰山寺によって書かれた「登山者へお願い」の一文を眺めながらチョコレートを食う。
五番関からここまで女人結界の中である。
空海は山中を彷徨した一人であるが、彼はいったい何を考えながら山道を歩いていたんだろうと時々思う事がある。
いろんな思いの中に、女体との交合もまた払拭しきれない幻影として付きまとっていたのではなかったか。法衣の裾を自らの精液で汚したことも一再ならずあったのではなかったか。
ついに空海は理趣経に行きつく。その第一段には、
・妙適清淨句是菩薩位 男女交合の妙なる恍惚は、清浄なる菩薩の境地である。
以下略すが煩悩を肯定するどころかそれは清浄なことなんだと理趣経は言っているように思える。
・何以故一切法自性清淨故 なにがゆえに、これらの欲望のすべてが清浄なる菩薩の境地となるのであろうか。これらの欲望をはじめ、世のすべてのものは、その本性は清浄なものだからである。(理趣経でヒットした幾つかのサイトを参照した)
空海を引き合いに出すまでもなく、私たちいや、私もまた、いろんなことが脳裏をよぎりつつ山を歩くけれど、その幻影を引きずりながら歩くこともしばしばなのだ。
11:05 脇宿跡
この頃まではまだ快適だったが、明王を巻きながら小普賢への登りにかかるとさすがにバテてきた。一歩一歩がきつい。
11:40 経箱石分岐
見覚えのある分岐だ。岩場、急登をこなして平坦な道を歩くと小普賢のピーク。
小普賢岳 |
11:50 小普賢岳
なんや、ここ、小普賢やったんか。じつは記憶ではここを明王だと思っていたのだった。すこし得した気分だった。
目前の大普賢は指呼の間だが、きょうはここまで。次回の楽しみにとっておこう。
岩に腰掛け昼ごはん。
帰りに経箱石を見に行ったが、どこなのかよくわからなかった。以前にも一度探しに行ったのだが、いまだにどこなのかよくわからないでいる。
13:00 脇宿跡
阿弥陀ヶ森分岐から再び結界の中に入る。
今回の二番目にお気に入りの一枚。 |
13:45 竜ヶ岳
ワンステ尾のピークだ。
竜ヶ岳ピーク | 地蔵岳ピーク |
13:55 小笹宿
14:25 地蔵岳
14:45 山上ヶ岳
大峰山寺には、
戸開式 五月三日 午前三時
戸閉式 九月二十三日 午前三時
14:55 日本岩
洞川の集落が見える。
携帯の電波も飛んだ。
日本岩にて。見晴らしもよく一本。花の名前には疎い。 |
15:30 レンゲ辻
記憶以上にツンツンした下りだった。
16:35 林道終点
16:55 大橋茶屋
山中10時間、久しぶりにしっかり歩いたぞ。
朝はまだ閉まっていた茶屋に人影があった。おばさんが駐車料代金1,000円の領収書を持って待っておられた。
以前は1000円払う代わりに生姜湯をサービスしてくれたこともあったんだけどなぁ・・・。