舟のタワから鳥の水 (Nov.3, 2010)


 弥山から釈迦ヶ岳まで、日帰りならば僕の足では二回ではとても無理。前回、弥山から舟のタワまで行けた。釈迦ヶ岳側からだと孔雀あたりまでが限度だと思う。
 とすると、舟のタワから孔雀間を埋める算段をしなければならない。
 というわけで、カラハッソウ谷から神仙平、神仙平からガリガリと斜面をよじって奥駈へ。以前も経験があり、ちょうど舟のタワあたりに登ったことがあるから、それを今回もやるつもりである。下山は七面山を経由し、日暮れまでには林道に下る。
 日が短くなった時期だから朝早く出なければならないがたぶんやれるだろう。

 結果としては、孔雀岳直下の鳥の水までしか行けなかった。正確に言うと、郭公ヶ宿(仲間内の通称)までで体力的にはいっぱいだったのだ。ここまで来ておけば釈迦からも来れる。繋げるはずだ。
 孔雀までもうひと頑張りしなければならないが、さすがにそれは今の僕にはきつく思われた。鳥の水へは出ているか否か、水場の確認に行ったのだった。

 次回がこの一連のテーマの最終回になるが、釈迦から鳥の水まで行けば、百丁茶屋から釈迦までの奥駈道が繋がる。結節点が鳥の水ということだ。
 孔雀岳ピークでもなく、郭公ヶ宿でもなく、その間の鳥の水が結節点になるのもなんだか締まらない話だけれど、まあ、僕らしくてそれもいいか。

 以前何度かメールをやりとりした倉内様から、ぜひご一緒できないかとメールをいただいた。できれば単独日帰りで通したかったけれども、意固地になる必要もない。快くOKの返事をした。まだお会いしたことはない。
 ただ、それなら仲間内にも募ってみよう。やっぱりそれが仁義だと思ったから。大峰奥駈最深部、おいしいところだ。倉内様からももちろんかまわないと返事をいただいた。
 というわけで、RINちゃん、DOPPOさん、ピッケル君、スロトレさん、倉内さん、郭公の6人になった。
 順次合流しながら予定通り、7時過ぎ湯ノ又に着いた。

07:20 湯ノ又
 長大な林道歩きが始まる。以前は七面登山口までは車で入れたのだが、今はしっかりした車止めになっているから、湯ノ又から歩かざるを得ない。

倉内さんとDOPPOさん。背後にRINちゃんとピッケル君。ん?スロトレさんがおらんぞ?

08:20 七面山登山口
 ちょうど一時間だ。いいペースだと思う。
 奥駈道は上が白い。どうやら霧氷が付いている。

09:30 林道終点。カラハッソウ谷入口。
 だいぶ手前まで林道が崩壊していて、谷へ向かって歩けるくらいのトラバースは付いているようにも見えたが、僕は右上の崖に沿って歩いた方がいいようにも思った。
 初めのうちはトラバースにしたがったが、後ろのピッケル君は崖上に登ろうとしている。
 「そうね、そっちの方がいい」というわけで僕も斜面をよじって崖上へ。
 道はそこにも付いていて赤テープもあった。下を行く四人に声をかけながら進むと涸れ沢のカラハッソウ谷に突き当たった。適当なところで谷に下りる。
 沢は広く大きな岩の涸れ沢である。伏流水になっているようだ。
 周囲は紅葉していて、奥駈の霧氷、さいわい天気もいい。岩の上を伝いながら詰めていく。ここまでは快適と言ってよかった。

崖の道には苔むした岩礁群
カラハッソウ谷

 大塔の道の駅「星のくに」に先乗りしていたピッケル君の車には霜が降りていて、「ああ、これは放射冷却現象じゃないか、ということは今日は暑くなるぞ」、と思って何度も吹聴したのだが、風はありちっとも暑くならないのである。
 (後でよくよく考えてみると、あれは霜が降りていたのではなく、車内のピッケル君の熱気が外気で冷やされてガラスの内側が濡れていたのだ)(^o^)

 右上が神仙平である。平とは言え、基本的には草付きの斜面である。それもけっこう急なのだ。谷からふうふう言いながらその斜面を登る。

神仙平―鹿の道に従って。

09:30 神仙平
 適当なところで一本。
 それにしても不思議だ。大峰の主稜線と西へ派生する尾根、七面へ続く稜線、七面から下る尾根に囲まれ、まるで臼のようでもある。西に開いて、その先に天和山。「神々は、この神仙平と天和山を飛翔しているのに違いない」って、前にも書いたような気もするけれど。
 舟のタワのだいたいの方角を見定めて、鹿がつけてくれた道を歩く。おおよそこのあたりかと言うところでガリガリと斜面をよじる。ピッケル君、スロトレさん、RINちゃんははるか先を直登する。僕はなるべく歩きやすい方へと右往左往しつつようよう奥駈へ登りつくと、前回、おそらくここと思ったところへピッタリだったが、さすがにきつかった。

前回はここまで。神仙平からピッタリとここに着いた。


11:20 The 舟のタワ
 七面山遙拝石を過ぎ、p1693を巻いて楊子ヶ宿へ。
12:00 楊子ヶ宿

 p1693をバックにここで集合写真。かつてここで二度幕営したことがある。一度は釈迦から、もう一度は弥山から。
 小屋は小高い草付きを越えて下ったところにある。
12:10
 小屋で昼ごはん。
 DOPPOさん、スロトレさん、倉内さんは、じゃあここで待っとこうかなんて。
 日暮れまでに林道に下りれるか? ヘッデンあるか? 七面を巻く道があるで。

12:40
 そんなこんなで、RINちゃん、ピッケル君、僕の三人が先へ進むことに。
 下山の時間を勘案して、あと一時間歩こう。そこで引き返す。たぶんだが、郭公ヶ宿までは行けるんじゃないか。

 仏生を巻く道もそこそこきついが、RINちゃん、ピッケル君はなんてこともなく登っていく。そこで、単独の方が下りて来られた。トンネル西口から仏生まで行って引き返して来られたのだとか。うーん、さすがに速いぞ。僕は、舟のタワまでしか行けなかった。
 仏生を巻き終えると平坦地に出る。孔雀尾根を登るとこのあたりに出てくる。ほどなく郭公ヶ宿である。

郭公ヶ宿から仏生 郭公ヶ宿から釈迦

13:25 郭公ヶ宿
 やっと来たぞ。ここまで来ればいい。体力的にもここまででずいぶん疲れた。あとは釈迦からここまで来れば繋がる。たぶん来れる。

 RINちゃんが、「じゃあ私は孔雀ピークまで行ってきますわ。」
 僕とピッケル君は、水場(鳥の水)の確認に孔雀側へ数分。この時期涸れてるかもしれないから、どうなのか見ておこう。
 取水口はひとつしか見当たらなかったが、しっかり出ていた。
 「あ、なんや、ここまで来たということは、釈迦からこの鳥の水まで来ればいいということや。そうか、結節点は鳥の水になるんか」

鳥の水

 郭公ヶ宿に戻る直前に、後ろからRINちゃんの声。
 「なんや、もう行ってきたんかい。めっちゃ早いやん」
 倒木に腰掛けて一本。ここでも二度幕営した。大黒上尾から仏生に登った時、十郎山からp1477.6を経て孔雀尾根を登った時。
 郭公ヶ宿の命名はたしかDOPPOさんだったが、そんな因縁である。地図にはここには名前がないのである。
 ちなみに孔雀尾根は私が名付けた。これも便宜上であって、地図には名前がない。

七面山東峰の壁

14:40 楊子ヶ宿小屋
 これからp1693へ登って七面側へ下るのだが、p1693の登りがまたきつかった。

p1693―この山にも名前がない。楊子山としておこう。けっこうきつい登りだ。

15:05 p1693

自身の山名ではなく、七面山の方向を示す標識。

 写真のように、新しい標識が立っていた。
 七面は山へ登らずに巻く道があるとのこと。ピッケル君は経験があるらしく、慎重にそのトラバースへの入り口を探す。七面への登りにかかるところにその道があった。と言っても斜面をこそいだような道だったが、ほぼ平行に巻くから登らなくて済む。
 本道に合流し、あとは石楠花なのかどうか、道いっぱいの木の根に足をひっかけないように気を使いながら下るのだが、RINちゃん、ピッケル君の速いこと。

16:30 七面尾への分岐
 標識には七面登山口まで35分とあったのに、15分で下りた。


16:45 七面登山口
 「ふう、お疲れさん」
 まだ明るい。
 あとは林道を湯ノ又まで歩くだけ。
 途中からヘッデンを点けた。
 湯ノ又で待ってくれていたDOPPOさん、スロトレさん、倉内さんと合流し、ヘッドライトに照らされて走っていくタヌキを何匹も見ながら国道に戻った。
 おかげさまで、あと一回で終わる。
 倉内さん、DOPPOさん、スロトレさん、RINちゃん、ピッケル君、付き合ってくれてサンキュー♪。