十郎山―まだまだトラウ魔の山 (Nov.21, 2010)


 過去三度の十郎山、登りも下りもすんなりと行けたためしがない。登りで迷い、下りでも迷い、登りはすんなり行けたが下りで迷う、というふうに。
 ただ、僕には自信があった。次こそ完璧に行ってやる。過去三度の経験では、二回目(2003年6月8日)の登りがもっとも早い。その道を迷うことなく下ればOKだと。

 三回目(2008年7月5日)、ピッケル君と行き、山頂直下でダウンしてしまったのがさらにこの山へのトラウマになっていて、その気分を解消すべく、7回の奥駈縦走が済む頃には次は十郎山と決めていたのだ。

 偶然と言うか、神さまの配慮か、前日の土曜、仕事帰りに所用がありいつもと違う方角の地下鉄に乗るとつり革につかまった僕の真後ろにピッケル君が座っていた。

 飲み会へ行くらしい。
 P「明日はどうするの? 快晴ですよ」
 K「十郎山へ」
 P「行きましょう」
 K「7時に川上道の駅ね」
 繰り返すが僕には自信があった。だから、十郎山からp1477.6を過ぎ、孔雀尾根を行ける所まで行っておこうと思っていたのだった。
 だが、四度目の今回もまたトラウマの種が増えることになろうとは。(-_-;)

06:40
 川上道の駅で合流し一台で白川又林道へ入る。

07:55 
 車止めゲートから入り出発。
 とにかく記憶にある二回目の登山口まで林道を歩けばいい。

 好天。紅葉もまだ残っていました。

 「ここのような気もするけど、どうも確信が持てないなあ」
 などと言いながら結局、大黒構谷のヘアピンカーブまで二時間近く林道を歩いてしまった。
 「あら? 行き過ぎてるわ。こらいかん。どこだったかな? あれっ?」
 と言うわけで引き返しながらどこか適当なところから取り付こうということになったのだが、塩ノ谷に近い尾根はイワクラに阻まれることもあるだろうからそれは避けたい。

10:05

この梯子から登った。谷の左の尾根を上る。

 結局、写真のこの梯子から取り付くことにした。上部まで杉の丸太を横たえて道が付けられていたからだ。


 ジグザグに道は付いていて初めのうちは快適。
 振り返ると大峰の弥山、八剣、五胡峰が青空に見える。

左の塊が五胡峰、中央やや右が八剣、右が弥山。

 しかし、それからが大変だった。丸太道が切れて左右の分岐を右に取ると幅10mくらいの崩落。なんとか渡ると道はそこで終わり。登るとすれば草付きのゴロゴロ岩を登らなければならない。
 「やめときましょうよ」
 たしかにちょっと危険。引き返して分岐を左に取ることにする。
 崩落を再度渡らなければならないが、あと一歩のところでズルズルと50cmくらい落ちた。
 さいわい土砂の堆積で止まった。

 伐採された形跡があるから人も入っているのだが道は細いしこれもまた切れて、上部へは潅木の中の急登である。鹿のフンは散見されたからおそらく鹿君が付けてくれたらしい道を登る。上部に横たわっている稜線(主尾根のひとつ)まで登れば何とかなる。
 適当なところで一本。
 ピッケル君がボソッと、
 「前回と同じようなことやってますよねぇ」
 苦笑するしかなかったが、僕はなぜあの登山口が見つからなかったのか不思議でならなかった。

これを右上に上ると急登の潅木帯。地元の鹿君が付けてくれた道になった。
主尾根は近いぞ。

11:30 
 リョウブ、そのほかの林立の中を抜けてやっと主尾根に出た。
 あとはこれに従えば何とかなる。

 後から考えればの話だが、これは2回目のとき歩いてたんじゃないかな?


 山頂が近づくに連れてその尾根もまた大きな尾根に合流。このあたりでやっと記憶のある光景である。
 十郎山は、白川又林道に向かって、大別して北尾根と東尾根があり、それぞれがまた小さな尾根に分岐している。

12:20 十郎山山頂

 結局、取り付きから2時間15分だった。

 「はあ〜、やれやれ」
 南風があったから北斜面で昼食。
 きょうもここまでで下りることにする。
 「来た道を下るのはちょっとね」
 と言うわけで、東尾根を下ることにした。

 山頂からツンツンしながら下った平坦なところで、僕はダウンしたのだった。
 モノレールの尾根に沿いつつ、読図に優れたピッケル君が地図を見ながら、
 「もうすぐ尾根の分岐があるはず」
 どうやらその地点に赤テープもあったが、踏み込むとここもまた藪の中である。
 下りで確認するのはかなり危険。過去歩いたことがあったとしても記憶は定かではない。やはり登って確かめるべきだと思う。モノレール道なら、以前も下ったことがある。急な下りでいやになるが仕方がない。

14:35
 というわけで、モノレールにつかまり後ろ向きになったりしながらやっとこさ林道まで下りた。

 今回もまたピッケル君には、「なんだかなぁ」の山行につき合わせてしまいましたね。